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スタッフコラム

2019.08.19|CEOコラム

お笑い軽減税率-本当に笑って良いか?~週刊ひかり vol.20


 10月1日の消費税率引き上げまで残すところ2ヶ月を切りました。同時に軽減税率も導入されるということで、国税庁では、その周知に躍起になっています。今月1日には「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」を改訂して公表していますが、改訂のたびに新たな項目が追記され、また従来の見解に修正が加えられたりしていることから、当局も慌ただしい準備を余儀なくされていることが窺えます。

 一方、納税者サイドの準備が捗っているかというと、これも心許ないようで、日本商工会議所が公表したところによると、軽減税率制度に対応するレジの導入については、4割の事業者が未着手とのことです。最近、レジ・システム補助金について「軽減税率対応レジを導入するなら今!」というテレビCMが高頻度で流れていますが、効果の程はイマイチのようです。

 ところで、紹介した国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」に目を通しますと、「はぁ?」と思わざるを得ない項目が散見されます。例えば、ファーストフード店からの「ハンバーガーとドリンクのセット商品を販売する際に、顧客からドリンクだけを店内飲食すると意思表示された場合の適用税率について教えてください」という質問に対して、「ハンバーガーとドリンクのセット商品は、一の商品であることから、意思確認の結果、そのセット商品の一部(ドリンク)を店内飲食し、残りを持ち帰ると申し出があったとしても、貴店は、一のセット商品の一部をその場で飲食させるために提供することになります。したがって、そのセット商品の販売は、食事の提供に該当し、顧客がドリンク以外を持ち帰ったとしても軽減税率の適用対象にはなりません」と答えています。昨今の酷暑の中、冷たいドリンクだけでもその場で飲みたいというのが人情ですが、そうすると軽減税率は適用されないのだそうです。なんか、バカみたいな話で笑ってしまいます。あるいは、筆者は日経新聞の電子版を宅配紙とセットで購読していますが、これについても「紙の新聞と電子版の新聞をセット販売している場合には、セット販売の対価の額を軽減税率の適用対象となる紙の新聞の金額と、軽減税率の適用対象とならない電子版の新聞の金額とに区分した上で、それぞれの税率が適用される」そうです。この事例も、そもそも提供される情報の内容や質に紙と電子で差があるとは思えませんし、むしろあってはならないはずなので、なんかアホみたいと一笑に付したいところです。

 このように首を傾げざるを得ない事例がいくつも紹介されている「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」ですが、なぜ国税庁は必死になっているのでしょうか。それは、いずれは欧州諸国のように15%とか20%といった税率になる日に備えて、なんとしても今のうちに軽減税率の導入と周知、そして浸透を図っておきたいからに他なりません。そこには将来を見据えた強かな戦略が隠れていることを見逃さないようにしたいものです。
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