広島を電撃訪問したウクライナのゼレンスキー大統領に対して、岸田首相は日本独自の新たな支援策として、100台規模のトラックなどの自衛隊車両やおよそ3万食の非常用糧食を提供すると伝えたと報じられています。また、ウクライナの負傷兵を都内の自衛隊中央病院に収容して治療するとのことです。
他のG7諸国が戦車をはじめ戦闘機やミサイルなど殺傷力のある武器を支援しているのに対して、トラックや糧食の提供などは何とも中途半端な支援のようですが、かつての武器輸出三原則や現在の防衛装備移転三原則の縛りがある我が国にとっては、精一杯の落としどころなのかも知れません。
しかし、戦争は武器だけでできるものではありません。いわゆる「兵站」といわれる後方支援、つまり弾薬や燃料はもちろん兵員の食料補給が確保されてこそ戦闘能力は維持されるのです。先の大戦での日独の敗因が、太平洋や欧州大陸で膨張した戦線に対する兵站を軽視したことはあまりにも有名ですし、独ソ戦に際してアメリカから提供された全輪駆動のトラックがウクライナの泥濘地を走破してソ連軍の兵站を支えたというのは、今となっては皮肉ですが、知る人ぞ知る事実です。
つまり、トラックや糧食の提供は支援策として決して中途半端ではなく、むしろ有効だということです。これを会社経営に置き換えると、会社の「兵站」、つまり総務や経理が充実していてこそ経営は安定し、かつ成長すると言っても過言ではありません。「稼いでいるのは現業部門で総務や経理などの管理部門は稼いでいない」という趣旨の発言をする経営者がいますが、彼らには次の言葉を贈るようにしています。
「素人は戦略を語り、プロは兵站を語る」