5月19日から広島で開催されていた主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)が昨日閉幕しました。この間、広島市周辺での警備体制は最高レベルとなり、とりわけ原爆資料館のある平和祈念公園周辺は厳戒態勢となったことから、弊社の広島事務所も18日から21日まで臨時休業を余儀なくされました。そうした不便を強いられた甲斐があったと言うべきか、サミットが大きなトラブルもなく無事に終了したことは何よりでした。
特に今回はG7の首脳のみならず、韓国やグローバルサウスと称されるインドやブラジルの首脳に加えて、ウクライナのゼレンスキー大統領が広島を電撃訪問したことが印象的でした。戦時下の指導者が世界を動かす政治家たちと被爆地の広島にリアルに集結したことは、それだけで大きな意味を持つイベントでした。彼らが笑顔で収まる一枚の写真が発信するメッセージは、どんな言葉にも勝ることを改めて認識しました。筆者が写真に興味を持つのも、そうした魅力に惹かれているのだと思います。
それはともかく、広島については京都との類似性について触れておかなければなりません。広島県の人口275万人に対して京都府の人口は255万人で、全国都道府県ランキングでは12位と13位です。また、広島市の人口119万人に対して京都市の人口は144万人で政令指定都市では8位と10位になります。一方、広島銀行の預金残高8兆7千億円に対して京都銀行のそれは8兆3千億円で、地方銀行62行中で7位と9位になります。このように両者は数字の上での類似点が少なくないのです。
さらに、数字だけでなく地形的にも三方を山に囲まれて南が開けているという類似点があります。この地形は原爆投下目標を決定する際の一大要素とされ、実は京都市が第一候補地だったのです。京都市が空襲を免れたのは巷間語られている文化財の保護などでは決してなく、原爆の効果を検証するために通常爆弾の使用が控えられていたのです。しかし、運命のいたずらで原爆は第二候補地の広島に投下されました。その理由は諸説ありますが、京都市が救われて広島市が犠牲になったことは歴史の事実です。京都と広島は多くの類似点を持ちつつも、この点だけは決定的に違うのです。