WBCでの侍ジャパン優勝の余韻も覚めやらぬ中、セ・パ両リーグの公式戦も始まりました。パ・リーグでは、北海道日本ハムファイターズの本拠地が新たにエスコンフィールドHOKKAIDOになったことに注目が集まっていますが、この新球場の所在地は北広島市です。もちろん広島県ではなく、北海道にある北広島市ですが、これは広島出身の開拓民に因んで名付けられた地名であることはご存知でしょうか。
この北広島市と同様の事例として、北海道には新十津川町という自治体があります。こちらも奈良県吉野郡十津川村での十津川大水害の被災民が離村して北海道に入植したことが地名の由来となっています。故郷を遠く離れて北海道の地に根を下ろした人々の出身地に込める思いに開拓の苦労が偲ばれます。
このように地名に「北」とか「新」が付くとその元となった地名との繋がりが窺われますが、一方で「東」がついても両者には直接関係がないという事例も複数あります。東京都の東久留米市と福岡県の久留米市との間には何の繋がりもありませんし、埼玉県の東松山市と愛媛県の松山市にも直接の関係はないようです。いずれも古くからの地名が由来になっているところ、先例との混同を避ける意味で地理的なことも含めて「東」を付加したというのが実情のようです。
さて、北広島市が北海道に所在することはご理解いただいたとして、「北広島町」はどうでしょうか。こちらは北海道とは全く関係がなく、広島県北部に所在した4町が合併した際に新町名として北広島町が選ばれたというわけです。つまり、北広島市と北広島町は、同じ名前でありながら遠く離れた存在なのです。この点、北海道には釧路市と釧路町が併存しますが、この両者はお隣同士ですから、同じ名前の市と町であっても、その関係は様々というわけです。