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2019.09.24|CEOコラム

イスラエル紀行(1)-会計は国際言語~週刊ひかり vol.25


 イスラエルが自認する首都はエルサレムですが、実質的な経済の中心地はテルアビブです。エルサレムが三千年の歴史を有する聖都であるのに対して、テルアビブは20世紀初頭までは地中海沿いの砂丘であったところに新たに建設された近代的な都市で、その名前もヘブライ語で「春の丘」に由来します。私たちが入出国に際して利用する空港もテルアビブ郊外のベン・グリオン国際空港で、世界一警備が厳しい空港とも言われており、確かに入国審査にも時間がかかりましたし、出国に際してもあれこれと多くの質問を受けました。これも周辺を非友好国に囲まれているという国情からはやむを得ないのかもしれません。ちなみに、この空港を拠点にするイスラエルの航空会社はエル・アル航空で、エル・アルとは、ヘブライ語で「空へ向かって」という意味です。現在、日本とイスラエルの間に直行便はありませんが、来年3月からは、このエル・アル航空が成田-テルアビブ間に直行便を就航させる予定と聞いています。


 さて、イスラエル訪問では、まず同業者団体と経済団体との合同懇談会に臨みました。訪問先は、イスラエル公認会計士協会(ICPAI)です。テルアビブ市内にあるICPAI会館では、ICPAI会長のIris Stark女史による歓迎の挨拶と近畿税務研究会奥田会長から日本の公認会計士と税理士制度に関する簡単な講話のあと、イスラエル日本商工会議所のZeev Weiss会長から歓迎のメッセージとイスラエルにおける日系企業の状況などについてのレクチャーがありました。近年、日系企業のイスラエル進出は目覚ましい伸びを示しているとのことで、そうした流れが前述の直行便就航にも繋がっているとのお話でした。









 ところで、イスラエルの公認会計士の数は約3万人とのこと。これは私たち日本の公認会計士の登録者数に匹敵します。しかし、イスラエルの人口は約800万人に過ぎませんから、対人口比ではかなり多数の公認会計士が存在することになります。ただ、イスラエルには税理士制度がなく、税務に関する専門家としても公認会計士が活躍しており、またイスラエル会社法では「すべての会社は、監査済み年次確定申告書および監査済み財務諸表を税務当局に提出しなければならない」とされていることから、その職域が広範なこともあって、日本に比べて多くの公認会計士が活躍しているようです。


 ご承知の通り、税理士制度を採用する国は欧米ではドイツだけであり、イスラエルがかつてイギリスの委任統治領であったことから、政治や経済の仕組みにはイギリスの流れを汲むものが多い中、イスラエルに税理士制度がないのは当然とも言えます。Iris Stark会長も馴染みのない税理士について「税務当局に対する許可証を持った会計士の一人」と説明していました。改めて税理士という制度が世界的にはレアな存在であることを再認識したのですが、その一方で、「会計は国際言語であり、グローバルなビジネス環境の変化に備える道具でもある」という会長の言葉が印象的でした。




【追記】懇親夕食会の席でイスラエル日本商工会議所のZeev Weiss会長の隣席に座り、親しくお話しをしたのですが(ヘブライ語はチンプンカンプンなので英語です。それでもカタコトですが(笑))、彼は翌週から京都・大阪を訪問するスケジュールとか。イスラエルと日本企業の架け橋となって活動している会長にとって多忙な日々が続いているようで、年間の訪日回数を尋ねると5、6回にもなるとのことでした。京都で是非とも再会をとお誘いしたのですが、時間がないと断られてしまいました(泣)





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