先週2月28日に厚生労働省から2022年の出生数が79万9千人に留まったとの衝撃的な発表がありました。日本に住む日本人に限ると約77万人とのことですから、合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の数の平均)が現在の1.3程度で推移すると、77万人のうちの半数が女性だとして、彼女たちが出産適齢期を迎える2050年頃の出生数は50万人程度になることが確定したというわけです。
この計算を続けていくと、2050年頃に生まれる50万人の半数の25万人の女性が出産適齢期を迎える2080年前後には32万人。そのまた30年後には20万人…と限りなく減り続ける結果、日本の将来人口の予測については、ほぼ答えが出てしまったように思います。こうした事態に対して政治は「異次元の少子化対策」を掲げて児童手当の強化や子育てサービスの拡充などを検討しているようですが、もはや手遅れの感が否めません。
その意味で政治の責任は重いと言わざるをえませんが、筆者が地元で応援している地方議員は、約30年前の初当選の頃から「未来はこどもたちの中にある」をスローガンに掲げて少子化対策の重要性を主張していました。しかし、残念ながら彼女の声が中央に届く機会は多くなかったようです。というか、彼女自身が独身で子供を産んでいませんので、その主張にやや説得力を欠いていたという面も否めないのですが…
それはともかく、少子化の一因は若い世代が漠然と感じている「将来不安」にあるのではないかと思っています。その一つが経済不安であり、一人の子供を一人前にするためには数千万円が必要といわれると、つい怯んでしまうというのが実情ではないでしょうか。それが目先の児童手当や子育てサービスの拡充程度で改善されるとは思えません。税制や社会保障制度のあり方も含めて将来不安を取り除くための施策が急務なのです。