過日、トヨタ自動車の社長が4月1日付で交代するというニュースが流れました。マスコミ向けの記者会見ではなく、トヨタイムズという自社で展開するオウンドメディアで発信するという手法も含めて、次期社長が予想外の人物だったこともサプライズとして受け止められたようです。確かに佐藤次期社長の現在の役職は、執行役員でChief Branding Officerを兼務し、Lexus International CompanyとGAZOO Racing CompanyのPresidentではあるものの、取締役ではありません。つまり、3人の取締役副社長を飛び越しての抜擢人事というわけです。
現社長の豊田章男氏の社長昇格が発表されたのが今からちょうど14年前の2009年1月20日でした。トヨタ自動車の歴代社長の中では最も若い53歳での就任、創業家からは14年ぶりの就任ということで話題にもなりました。そして、今回発表のあった佐藤次期社長の年齢が53歳であると聞くと、バトンを渡す側と受け取る側の年齢に絶妙なバランスが取られていることに感心せざるを得ません。
さて、トヨタ自動車のような巨大企業はともかくとして、全国の中小企業を含めた社長の平均年齢は年を追うごとに高齢化し、昨年は63歳に達したと東京商工リサーチが報告しています。さらに70代以上の社長の在任割合も3割を超えているとのことですから、高齢化の問題は社会のみならず企業経営にも影響を与えていることは間違いありません。
そして、社長の年代別にその企業の業績を分析してみると、社長の高齢化に伴って増収率が下がる傾向があるという興味深いデータも示されています。つまり、社長の年齢と企業業績は反比例するというわけです。豊田現社長が佐藤次期社長を指名した理由は「まずは若さ。それとクルマが大好きであること」だそうですから、これも頷けるところです。