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2022.10.11|CEOコラム

パブコメも捨てたものではない ~CEOコラム[もっと光を]vol.140

 みなさんは「パブコメ」という言葉をご存じでしょうか。正しくは、「パブリック・コメント制度」という行政による意見公募手続のことです。各種の政策を実施していく上で、行政機関は様々な政令や省令などを定めますが、これらの政省令等が行政サイドの目線だけで決められてしまうと、必ずしも民意が反映されず、また実態に即したルールにならないという懸念も生じます。

 

 そこで、行政機関が政省令等を定めようとする際に、事前に広く一般から意見を募り、その意見を考慮することによって行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的として「パブリック・コメント制度」が導入されました。その歴史はまだ新しく、2005(平成17)年6月の行政手続法改正によって法制化されたものです。

 

 さて、この三連休に先立つ先週10月7日に国税庁から「『所得税基本通達の制定について』(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について(URL)」が公表されました。これは、雑所得の範囲をめぐる所得税基本通達の改正にあたって、国税庁が8月1日から31 日までホームページ等を通じて意見を公募した結果の報告ですが、それによると公募に応じた意見数が7千通を超えたということで、その関心の高さが窺えます。

 

 この7千通を超える意見の内容についても、その概要が公表されていて、「改正は副業を推進する政府の方針に逆行するのではないか」、「実態を無視して形式基準で判断するべきではない」、「真面目に記帳等をしている者は収入金額300万円以下の副業であっても事業所得と取り扱うべきではないか」など多くが当初案に対して否定的であったようです。国税庁としては、こうした声に耳を傾けて当初の通達改正案を修正することになりましたが、パブコメ制度が有効に機能した一例として評価して良いのではないかと思っています。

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