先週9月23日に西九州新幹線が開業しました。長崎-武雄温泉間の営業キロは僅か69.6㎞で、これは東海道新幹線の京都-米原間67.7㎞に相当します。その間に諫早、新大村、嬉野温泉の3駅が設けられ、このうち諫早にのみ停車する最速の「かもめ」で所要時間が23分ですから、京都-米原間ノンストップ(途中に駅がないので当然ノンストップですが…笑)の所要時間18分とほぼ互角というわけです。
実は、この西九州新幹線は他のどの新幹線とも接続していない、いわゆる盲腸線であることが特筆されます。長崎を出発する「かもめ」の行先案内は「博多」となっていますが、乗車した車両がそのまま博多へ行くことはありません。途中の武雄温泉駅で在来線の特急に乗り換える必要があるのです。つまり、新幹線の線路は武雄温泉駅までで、その先の九州新幹線の最寄り駅である新鳥栖には繋がっていないのです。
なぜこのようなことになったかというと、佐賀県が費用対効果の観点から新幹線建設に難色を示していることから、九州新幹線との接続工事に目処が立たず、結果として盲腸線の状態で文字通りの「見切り発車」となったわけです。隣県である福岡県や長崎県との往来は在来線で十分であって、巨額の費用負担をしても得られる効果は乏しい上に、新幹線開業で却って在来線の利便性が損なわれるという佐賀県の主張にも一理はあります。
日本初の鉄道が新橋-横浜(現在の桜木町)間で営業運転を開始したのが1872(明治5)年10月14日ですから、今年は鉄道開業150周年ということになります。西九州新幹線も鉄道150周年の節目に開業という絶好のタイミングではあるのですが、本来の新幹線の役割である「大量・高速輸送」という観点からは「ちょっと違うなぁ」という違和感を払拭することができません。行先が「長崎」と表示されている新幹線車両を新大阪駅で見ることができるのは、いつになるのでしょうか…