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2022.09.12|CEOコラム

際立つ彼我の違い ~CEOコラム[もっと光を]vol.136

 わが国の皇室は万世一系で現在の天皇陛下は第126代になるということですが、在位100年や年齢150歳といった神話上の天皇や継体天皇による王朝交代、あるいは南北朝並立といった歴史を知ると、事実は違うところにありそうです。この点、英国の王室の歴史もかなり複雑です。そもそも英国がイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの国の連合国家(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)であることから、歴史を遡れば各国毎に王室があって、その系譜はより複雑というわけです。

 

 この複雑な英国史を繙くべく書棚から世界史の教科書を引っ張り出してきたのですが、それによると絶対王政時代のイングランド王家のヨーク朝やテューダー朝から清教徒革命と王政復古に前後するスコットランド王家のスチュアート朝が続き、スチュアート朝が断絶した後、神聖ローマ帝国選帝侯のゲオルク・ルートヴィヒが連合王国ジョージ1世となったのがハノーヴァー朝の始まりとされています。現在のウィンザー朝(元はザクセン=コーブルク=ゴータ朝)もこの流れにありますから、現在の英国王室の血筋はドイツともいえるわけです。

 

 このように英国はもちろん、他の欧州諸国の王室の歴史もそれなりに複雑で、とても万世一系などではないようですが、それはともかく、ウィンザー朝第4代女王エリザベス2世が去る9月8日に96歳で亡くなられました。在位70年7カ月は歴代の英国君主で最長とのことで、チャーチルやサッチャーなどの歴代首相と並ぶ写真からは第二次大戦後の英国史そのものであることを再認識させられます。

 

 エリザベス2世の国葬は来る9月19日にウェストミンスター寺院で執り行われることが発表されました。天皇陛下も参列を検討されているとのことですし、米国大統領も早々に参列の意思を表明するなど、その在位期間と功績に対する英国民の弔意はもちろん、各国の対応も当然のことといえましょう。一方で、わが国でも9月27日に国葬が行われるようですが、8年そこそこの在任期間にだけ着目して陰の部分に蓋をしたまま安易に国葬を決めたやり方に対して世論の半数が難色を示しているというのですから、彼我の違いが際立つことこの上ないと言わざるを得ません。

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