Menu

Column

スタッフコラム

全拠点
2022.08.17|CEOコラム

「失敗の本質」に学ぶ ~CEOコラム[もっと光を]vol.132

 8月は広島、長崎の原爆記念日と終戦記念日が相次ぐ特別な月です。もっとも、これらは決して記念するべき日などではなく、戦渦に倒れた多くの犠牲者を悼むとともに平和を祈る「祈念日」とするべきですし、戦勝国が対日戦勝記念日(VJ Day:Victory over Japan Day)などと称して戦争を美化していることと合わせて違和感を払拭できません。

 

 それはともかく、この時期になると戦史や戦記に関するテレビ番組が目白押しになります。ここ数日間でも、ミッドウェー海戦やガダルカナル攻防戦での敗北が大日本帝国の分岐点であったという今さらながらの番組やビルマ(現在のミャンマー)戦線における日本軍の絶望的な行軍といった既知の史実を編集したものなど相変わらずの内容だとは知りつつ、それでもテレビの画面に釘付けになっている自分が可笑しいのですが…(笑)

 

 ところで、こうした日本軍敗退の史実を研究した良書があります。野中郁次郎氏他による「失敗の本質ー日本軍の組織論的研究」(ダイヤモンド社)がそれです。初版は1984年ですから、今から40年近く前の研究成果ですが、その内容は今なお色褪せることなく、戦史本というよりも経営学の教科書としても十分に役に立つものといえます。例えば、「戦闘は錯誤の連続であり、より少なく誤りを犯した方により好ましい帰結がもたらされる」との分析などは、戦闘の二文字を経営に置き換えれば、今の時代にもそのまま当てはまります。

 

 前述のミッドウェー海戦における敗因についても、情報の重要性に対する無知(暗号を米軍に解読されていた事実)、攻撃に偏重した戦略(攻撃力を担保する情報収集や後方兵站の軽視)、防御能力の脆弱性、ダメージ・コントロールの不備といった分析をしていますが、これらは破綻企業の倒産原因にも通じるものがあります。市場調査を蔑ろにして、思い込みの営業に終始し、攻守が代わった途端に対応の術を失い、立て直す暇もないまま、なし崩し的に破綻に至る。どこかで聞いた話だと思いませんか。つまり、日本軍と同じ過ちを犯す企業が後を絶たないとしたら、改めて「失敗の本質」に学ぶ必要があると思います。

メールマガジン
登録
お見積り
ご相談