今年も「国税庁レポート2022」がホームページ上で静かに公開されました。毎年、国税の事務年度末である6月にリリースされるのですが、あまりPRされていないこともあって、国税庁のホームページを定期的にモニタリングしていない限り、目にとまることが少ないのが実状です。この2022年版では、コロナ禍にあっても納税者の自発的な納税義務の適正かつ円滑な履行を実現するという使命を果たしていく決意が語られ、昨年6月に公表された「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」に沿った各種施策を講じていくとされています。
とりわけ、2023年10月から実施されるインボイス制度について、昨年10月から適格請求書発行事業者の登録申請の受付が開始されたことを受けて、その速やかな登録と制度の円滑な運用について多くの紙幅が割かれています。また、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現を目指して、e-Taxやキャッシュレス納付の利用勧奨に努めるべく新たにスマートフォンを利用した決済サービス(スマホアプリ納付)の導入も予定されているとのことです。
さて、この国税庁レポートには巻末に興味あるデータが「資料」として掲載されていることを見逃してはなりません。例えば、租税収入65.2兆円の内訳として、消費税が21.6兆円で税収全体のほぼ3分の1を占めていることや、それに次ぐ所得税20.4兆円のうち17.1兆円が源泉所得税となっていること、法人税は13.3兆円で消費税、所得税に次ぐ第3位になってることが資料から読み取れます。また、相続税の税収規模は2.6兆円にとどまっていることもわかります。
一方、この「資料」では、国税庁関係の予算額が6,254億円で、そのうち人件費が5,466億円であること、また国税庁の令和4(2022)年度の定員が56千人であることが明らかにされています。これらのデータから、62.5兆円の税収を確保するための、いわゆる徴税コストが約1パーセントであること(6,254億円÷62.5兆円)や、国税職員一人あたりの平均人件費が約1千万円であること(5,466億円÷56千人)などがわかり、国税組織の運営に関する一端を垣間見ることのできる興味あるデータとなっています。