国税庁から「令和2年度分 会社標本調査-税務統計から見た法人企業の実態」が公表されました。この会社標本調査は、昭和26年分から毎年実施されていて今回で71回目に当たるようです。今年は昭和に換算すれば97年ですから、計算は合います(笑)また、昭和38年分の調査からは調査結果に基づき「税務統計から見た法人企業の実態」として、法人企業の総数、資本金、営業収入金額等のデータに若干の解説を加えて公表されています。
国税庁がこうした調査を行う目的は、法人企業の実態を明らかにした上で租税収入の見積りや税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることにあるとされています。つまり、行政目的のために実施されているものですが、公表されているということは民間での利活用も視野に入れた調査が行われていると考えて良いようです。その意味では、無償で入手できる経済リポートとして一読する価値はあると思われます。
さて、今回の調査結果によると、法人数全体は、279万560社(前年度比+4.5万社、同+1.6%)であり、平成24年度以降、8年連続で増加しているとのことです。また、 利益計上法人数は105万782社(前年度比▲0.3万社、同▲0.3%)と10年ぶりに減少した一方、欠損法人は173万9,778社(前年度比+4.8万社、同+2.9%)と2年ぶりに増加していることが明らかにされています。
調査の対象は、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間に終了した各事業年度について、令和3年7月31日までに申告があった事案とされていますから、文字通りコロナ禍の真っ只中で行われた調査ということができます。それにもかかわらず、利益計上法人数が減ったとはいえ法人数は順調に増加しているというのですから、コロナ禍が企業活動に与えた影響はなくはないものの、甚大とはいえなかったのかもしれません。そのように考えると、詐取を誘引するような審査の甘い給付金や借金漬けを招来するような安易な融資は果たして必要だったのかどうか疑問の残るところです。