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2022.05.23|CEOコラム

最近の業界事情を読む ~CEOコラム[もっと光を]vol.120

 3月入会者数57人、同月退会者数90人、同月末会員数15,169人。4月入会者数29人、同月退会者数37人、同月末会員数15,127人。 これは、小職が在籍する近畿税理士会の会員数の推移です。ここ数か月、退会者数が入会者数を上回っていることから、当然のことながら月末会員数は減少しています。こうした状況は近畿税理士会のみならず、日本税理士会連合会を構成する15の単位税理士会でも同様で、全国レベルでも3月末の登録者数80,163人が4月末には79,887人に減少しています。

 

 なにぶん高齢化が進んでいる業界ゆえに死亡による自然減は避けられないとしても、それだけではこの減少を説明することはできません。実は、税理士の登録者数が減少する主な要因は業務廃止によるものなのです。業務廃止とは、自主的に税理士登録を抹消して税理士業務を廃業することに他なりません。開示される名簿からは業務廃止者の年齢を知ることはできませんが、名簿の中に知った名前を見つけるにつけ、高齢者が多数派であることに疑いの余地はありません。

 

 ところで、業界への人材供給源としての国税OBの存在は広く知られているところです。国税職員は勤続年数等の一定の条件を満たすことによって税理士試験が免除されますので、定年退職後に第二の人生として税理士業を開業する事例が一般的で、世間ではOB税理士といわれています。ところが、最近では条件を満たしながらも定年退職後に税理士登録をしないというケースが増えているようです。つまり、人材供給ルートの一つが細りつつあることも登録者数の減少要因の一つと言えるのです。

 

 では、高齢会員の業務廃止や新規のOB税理士減少といった事情の背景には何があるのでしょうか。これは間違いなく業界を取り巻く環境の変化であり、その一つが加速する業務のデジタル化にあることは間違いありません。国税庁が昨年6月に公表した「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0」では、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会を目指すとして様々な取り組みが紹介されています。その核心部分がデジタル対応であることから、税理士もそれに対処できなければ生き残れないことは明白です。そのことを敏感に察知した人達が市場から早々に撤退し、あるいは市場への参入を躊躇しているというのが最近の業界事情ではないかとの読みです。

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