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2021.12.13|CEOコラム

言葉が踊るだけでは虚しい ~CEOコラム[もっと光を]vol.97

 心が躍るのではなく、言葉が踊っているとしか思えないのが先週10日に発表された与党による令和4年度税制改正大綱の内容です。その前文には「経済あっての財政との考えの下、足元及び中長期的な成長に向けた課題に対応しつつ、財政健全化に向けて引き続き改革を続ける」とあります。

 

 「財政健全化に向けて引き続き努力する」など、どの口が言っているのかと思わざるをえない相変わらずのバラマキ政治が続けられる中、せめて税制だけはまともであってほしいと願っていたのですが、残念ながら期待は外れました。

 

 今回、力が入っているのは企業の賃上げを促す優遇税制です。雇用者の給与総額を増やせば、一定の条件で法人税の控除を認めるという既存の制度のてこ入れですが、そんな小手先の優遇税制で企業が容易に動くと思っているとしたら大きな勘違いです。賃上げは社会保険料等の負担増にも繋がりますから、企業は慎重にならざるを得ないのですが、そこがどうも分かっていないようです。

 

 さらに、少し思い上がっているのではないかと懸念されるのが、賃上げに消極的な企業は他の優遇税制の対象から除くというペナルティが用意されていることです。いったい、税制はいつから企業行動をコントロールする立場になったのでしょうか。税制は企業行動そのものに対しては中立であって、行動の結果である利益に対して公平な負担を求めるという姿勢でなければならないはずです。自在にコントロールできると思うのなら、税率に所得税同様の比例税率でも導入してみたらどうかと言いたいところですが、そんなことは絶対にできるはずもありませんから、結局は威勢のいい言葉だけが踊っているとしか思えないのです。

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