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2021.12.06|CEOコラム

法人に対する最近の税務調査事情 ~CEOコラム[もっと光を]vol.96

 国税庁が去る11月30日に公表した「令和2事務年度法人税等の調査事績の概要」によりますと、新型コロナウイルスの影響によって調査件数は前年の3分の1に減少したものの、調査1件当たりの追徴税額は2.5倍に増加したことが明らかにされています。

 

 コロナ禍において税務調査の実施が難しい中、提出された申告書等に加えて他の資料情報の分析・検討を慎重に行い、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査の必要性が高いと判断された2万5千件について実地調査を実施した結果、申告漏れ所得金額は5,286億円(前年7,802億円)、追徴税額は1,936億円(前年2,367億円)に達したとのことです。これは、総額としては前年に比べて減少していますが、逆に調査1件当たりの追徴税額は780万円(前年313万円)と大幅に増加しているとのことですから、ターゲットを絞った調査対象の選定が奏功したといえましょう。

 

 一方、申告内容に誤り等が想定される納税者に対しては、書面や電話による連絡や来署依頼による面接等を通じて自主的な申告内容等の見直し要請をした結果、6万8千件から申告漏れ所得金額76億円、追徴税額62億円を把握したとされています。これもコロナ禍における苦肉の策といえますが、一定の効果を発揮したようです。

 

 このようにコロナ禍における税務調査のあり方に国税当局も工夫を重ねていることが窺えますが、納税者に対する接触率、つまり調査実施割合は3%を切っているのが実情です。誤解を恐れずに言えば、税務調査は33年に1回しか行われていないとも言えます。前述の通り、悪質な事案を重点的に抽出して効果的な調査を実施しているとはいうものの、3%という数字に満足できないことは国税当局が一番よく分かっていますから、今後の対応については策を練っていることと推察しています。

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