2021年8月末現在、日本公認会計士協会には266社の監査法人が登録されています。昨年が250社、一昨年が236社でしたから、毎年ほぼ15社ずつ増加していることになりますが、新聞紙上等で「4大監査法人」といった表現が用いられることが多いことから、260社を超える監査法人が存在することは少々意外に思われるかもしれません。
現在、全国で約33千人の公認会計士のうち約3分の1にあたる1万人強がこの4大監査法人に所属し、約1万社の監査を担当しているというデータから、監査法人=4大監査法人という図式で業界が語られがちですが、彼らだけが監査業務を担っているわけではもちろんありません。監督官庁である金融庁が「準大手」や「中小」といったカテゴリーで区分する監査法人も大いに活躍しているのです。
ところで、2021年上半期に会計監査人である監査法人を交代させた上場会社は173社にのぼり、前年同期の111社から大きく増加しました。その内訳は、「4大」から「中小」への交代が73社と最多で、以下、「中小」から「中小」が37社、「4大」から「準大手」が32社と続き、4大監査法人から準大手・中小監査法人への交代が顕著になっています。
交代の理由としては、「事業規模に相応しい監査対応」とした事例が139社と最多で、そのほかには、監査継続年数が長期にわたることや関連会社の監査人との関係を考慮した結果などが挙げられています。さらに、コロナ禍において業績が厳しい中で事業の実態に応じた監査水準や報酬を検討した結果という理由が散見されるのも世相を反映していると言えます。実は、ひかり監査法人も今年6月に某上場会社の会計監査人を「4大監査法人」から引き継いだことを報告しておきます。