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2021.08.09|CEOコラム

お札に関するプチ情報 ~CEOコラム[もっと光を]vol.79

 電子マネーやスマホ決済、クレジットカードといったキャッシュレス決済が普及する中で、お札や硬貨などの「現金」の流通量は減っていると思うのですが、財務省のデータによると、今年の日本銀行券製造枚数は30億枚で、ここ数年あまり変化していません。その内訳は1万円札が9億枚、5千円札が4億枚、千円札が17億枚となっていて、この割合についても大きな変化はないようです。

 

 このお札ですが、券面に「日本銀行券」と印刷されていますから、日本銀行で印刷され、製造枚数のコントロールも日本銀行で行われていると思われがちですが、実はそうではありません。日本銀行券は、独立行政法人国立印刷局が製造し、日本銀行が発行するとされています。また、銀行券の製造について、国立印刷局は財務大臣の定める製造計画に従わなければならないとされています。そのため、前述のようなデータが財務省から公表されているというわけです。

 

 ところで、来る2024年には新しいお札(改刷券)が登場します。1万円札に渋沢栄一、5千円札に津田梅子、千円札に北里柴三郎が描かれることになっていますが、これらの肖像についても日本銀行が決定するのではなく、財務大臣が決めることになっています。肖像の選定にあたっては、日本国民が世界に誇れる人物で、教科書に載っているなど一般によく知られていることや偽造防止の目的から、なるべく精密な人物像の写真や絵画を入手できる人であることが条件になっているようです。その結果、肖像は明治以降に活躍した文化人や学者の中から選ばれていて、あえて政治家は避けられているといわれています。

 

 肖像の対象から政治家を外しているのは正しい選択だと思いますが、時の財務大臣あるいはその任命権者である総理大臣の意向が色濃く反映されるのも事実です。現在流通している1万円札が福沢諭吉になったのは、当時の小泉純一郎首相の出身校である慶應義塾の創始者であったからと言われていますし、新たに登場する1万円券の渋沢栄一は、改刷が発表された2019年の麻生財務大臣と安倍首相の二人にとって遠縁の親戚にあたる人物だからといわれています。日頃、何気なく使っている紙幣ですが、実は政治家の思惑が見え隠れしていることも知っておいて損はないと思います。

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