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2021.07.05|CEOコラム

少子化対策を阻む石頭 ~CEOコラム[もっと光を]vol.74

 昨年7月に産まれた初孫が1歳になります。厚生労働省が発表した2020年の人口動態統計月報年計によると、コロナ禍に産まれ、コロナ禍を生き抜く2020年生まれの子供の数は84万832人で、前年より2万4,407人少なく、120年以上前の1899(明治32)年の調査開始以来、最少の出生数だそうです。さらに、一人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率も前年比0.02ポイント低下して1.34になりました。コロナ禍が少子化に拍車をかけていることは間違いなく、先月発表された2021年4月の人口動態統計速報値では、1月から4月までの出生数は263千人と報じられていますから、今年は80万人を切ることが十分に予想されます。

 

 加速する少子化の一因として、婚姻数の減少も見逃せません。前出の速報値によると2021年4月を含む過去1年間で対前年同期比17%も減少しているのです。男女ともに晩婚化が進行しているとはいえ、コロナ禍によって出会いの機会が大きく制限されていることが一因と思われます。婚姻数の減少は当然のことながら出生数の減少に繋がるわけですし、そもそも出産適齢期を迎える女性の数自体が減少しているのですから、出生数は加速度的に減少していくと予想せざるを得ないのです。

 

 さて、わが家の初孫が大学受験をする2038年には、受験者は今より3割近く減少します。これは予想値ではなく現実の数字として判明していることです。なぜなら今年の受験者である2003年生まれの子供の数は112万人でしたから、それとの対比で答えは出ているのです。この明らかな将来数値からは、現存する大学がすべて生き残ることはおそらく難しいでしょうし、それよりも労働力の供給にも大きな支障が出ます。すべての産業で人材の確保が難しくなり、私たち職業専門サービスの分野も決して例外ではないと危惧しています。

 

 このような誰にでも簡単に予想できる未来なのですから、少子化対策は喫緊の課題のはずですが、繰り出される政策は総花的で中途半端なものばかりです。不妊治療を保険の対象にするという議論などは、その必要性は否定しないもののピースミールな話です。その一方で、最高裁は夫婦同姓は憲法に違反しないとして夫婦別姓の導入を否定しましたが、こうした石頭が婚姻数の減少を招来し、ひいては少子化対策に冷や水を浴びせているのです。少子化対策は、まず石頭を柔らかくすることから始めないといけませんね。

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