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2021.05.17|CEOコラム

矢継ぎ早の相続法改正 ~CEOコラム[もっと光を]vol.67

 今から8年前、2013年9月に最高裁判所大法廷は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする当時の民法の規定について、「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択する余地のない理由によって子に不利益を及ぼすことは許されない」として、法の下の平等を定めた憲法第14条に違反して無効であるとする決定をしました。

 

 この違憲決定を受けて、同規定を削除する改正法が成立しましたが、その議論の過程で相続法制の大幅な見直しの必要性が説かれ、2018年2月に法制審議会における「民法(相続関係)等の改正に関する要綱」の決定を経て、この要綱に基づいた改正法が同年7月に成立しました。民法(相続関係)、いわゆる相続法は、1980年に配偶者の相続分の引き上げや寄与分制度の新設等の改正が行われて以来、実に38年ぶりに大きな見直しが行われたのです。

 

 しかし、それから3年を待たずして、再び相続法は手直しをされることになりました。その一因は、いわゆる所有者不明土地問題にあります。つまり、相続が発生しても相続人が必要な登記をせずに放置している事例が多発した結果、所有者を明らかにできない土地が全国で410万ヘクタールにも達し、それは九州を上回る面積であることが社会問題となったのです。

 

 そこで、この問題を解決するために去る4月28日に不動産登記法と相続法が改正されました。この改正によって、相続開始から3年以内の相続登記が義務化されるとともに、相続開始から10年を経過すると遺産分割協議において特別受益や寄与分の主張ができないことになりました。その趣旨は、相続分の計算を複雑にする要素を排除して遺産分割の長期未了状態を解消し、相続登記を促進することにあります。このように相続法は永い眠りから覚めて矢継ぎ早に改正されたわけですが、これも社会が大きく変化していることの証左に他なりません。

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