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2021.05.10|CEOコラム

2/3はハードルが高すぎるって? ~CEOコラム[もっと光を]vol.66

 株式会社の最高意思決定機関が株主総会であることは言うまでもありませんが、この株主総会の決議方法については、総会成立に必要な定足数と賛否を決する議決権割合によって、普通決議、特別決議、特殊決議の3つに大きく分けられています。

 

 これは、決議するべき事項の重要度に応じて必要な要件に差を設けているからです。議決権の過半数で決議できる普通決議に対して、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の2/3以上による賛成を必要とする特別決議があります。定款の変更や組織の再編といった株主の地位に大きな影響を与える事項については、普通決議よりも厳格な要件を課しているのです。

 

 さらに、この特別決議よりも厳重な要件が求められている事項もあります。公開会社でない会社、つまり全株式譲渡制限会社において、剰余金の配当や株主総会の議決権を株主ごとに(属人的に)異なる取り扱いとする旨の定款変更を行う場合には、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3/4以上の賛成が要求されます。これを特殊決議と言いますが、例えば株主Aに対する配当を株主Bより多く(あるいは少なく)することにしようと決めるわけですから、株主平等原則との兼ね合いで要件がより厳格になるのは当然です。

 

 このように、会社法では決議事項が与える影響の大きさに配慮して決議の要件を加重しているわけで、これは他の法律も同様です。今、話題の国民投票法の改正が憲法改正を視野に入れた動きであることは言うまでもありませんが、憲法においても、その改正には衆参両院議員の2/3以上の賛成による発議が必要されています(96条1項)。過日の憲法記念日に前首相は、あろうことか「2/3以上なんて、ハードルが高すぎる」と言い放ちましたが、憲法改正という国民に大きな影響を与える事柄を軽視する問題発言と言わざるを得ません。

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