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2021.04.26|CEOコラム

弄ばれる「緊急事態」 ~CEOコラム[もっと光を]vol.64

 再びどころか三たびというのに驚き、二度あることは三度あるという諺通りの緊急事態宣言が東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に発令されました。この宣言によって、飲食店は酒類提供の有無によって休業もしくは営業時間の短縮を求められ、百貨店などの大型商業施設も休業要請に従うことになります。また、公共交通機関に対しても平日の終電繰り上げや週末・休日の減便が要請されるとのことです。

 

 休業要請を受けた地元の大手百貨店では、早速25日から食料品売り場を除いて全館休業する旨がホームページにアップされています。この百貨店では一年前も4月15日から休業を余儀なくされていましたから、一年を経て再び同じ光景が繰り広げられていることに驚かざるを得ません。あってはならない「デジャ・ブ」の責任は偏に政治にあるといっても過言ではないでしょう。

 

 この一年間、政府のコロナ対策は、愚策とされる「戦力の逐次投入」そのものでした。戦力の逐次投入とは、「戦力を小出しにした結果、小さな敗北が積み重なって大敗に至る」という兵法から学ぶ経営戦略のキーワードですが、三度に及ぶ緊急事態宣言は文字通りこの愚策そのものです。「緊急事態」という本来は極めて重い言葉を安易に弄んで発令と解除を繰り返し、結局は何の成果も得られていないわけですから、まさに小さな敗北が積み重なって大敗に至りつつあるのが現状です。

 

 根拠のない楽観から無意味な布製マスクを配ってみたり、旅行券や食事券を乱発して収拾がつかなくなったりと戦力の逐次投入どころか場当たり的な対応に終始した政治にこそ責任があります。「二度と緊急事態宣言を発令することのないようにする」と豪語しながら、それを果たせなくても「お詫びする」の一言で済ませるようなリーダーなど誰も信用しません。今こそ政治責任と引き替えに一段と強力な対策を実行する覚悟ある決断が求められているのではないでしょうか。そうでなければ、いよいよ「緊急事態」という言葉は軽んじられ、オオカミ少年と化することは明らかです。その結果、本当の緊急事態が発生したときに取り返しのつかないことになると危惧しています。

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