税理士業務は資格がなければ行えないという点を除いては、他の事業と何ら変わることはありません。税理士法人も同様で、業法による規制等があるという点で株式会社をはじめとする営利法人とはやや趣を異にする面があるとはいえ、経済主体であることに違いはありません。
したがって、税理士法人が「破産」することも当然にあり得るのですが、先日の官報に掲載されていた千葉県の税理士法人の破産開始決定の公告には思わず目がとまりました。「おお、珍しいなぁ」というのが感想なのですが、会計や税務の専門家を標榜し、時には顧客の資産運用のアドバイスをしている当の本人が破産したというのですから、驚くというよりも失笑を禁じ得ないというところです。
さて、ひとくちに税理士や税理士法人と言いましても、玉石混淆であることにご注意いただく必要があります。失笑ものの破産劇もあれば、顧客を騙したあげくに裁判所から「報酬を詐取した」とか「暴利行為があった」と指弾される税理士もいるのです。昨年7月に東京地裁で言い渡された判決を読んで驚愕したのですが、ありもしない地方税の欠損金繰戻還付制度を仮装して還付額の一定割合の成功報酬を詐取したというのですから開いた口が塞がりません。また、ふるさと納税を代行する手数料なる奇怪な報酬まで得ていたというのですから、驚きは怒りに転じます。
このような極めて悪質な税理士(実は公認会計士だったという尾ひれがつきますが…)が存在している事実を再認識しておく必要があります。国税庁ではホームページ上で懲戒処分の対象となった税理士名を開示していますが、その処分内容は脱税幇助と自己脱税、無資格者に対する名義貸しという3点セットが主流になっています。身内の恥をさらすのはこれぐらいにしておきますが、いずれにしても税理士や税理士法人を選ぶ際には、くれぐれもご注意くださいますように…