過日、今年の税理士試験の合格発表がありました。開催が予定されていたオリンピックのスケジュールが優先されたため試験日が例年より2週間ほど遅くなりましたが、合格発表の時期はほぼ例年通りでした。とはいえ、夏真っ盛りに実施された試験の結果がクリスマスの頃に届くという日程は筆者が受験生であった40年以上前から何も変わっていません。時代はデジタル化され、AI化されつつありますが、ここだけは旧態依然のようです。
それはともかく、国税庁の発表によりますと、今年は受験者数、合格者数ともに前年を下回っています。受験率(願書提出者に対する受験者の割合)が大きく低下する一方、合格率は若干上昇したようですが、いかんせん分母が小さくなっているのですから、当然の結果と言えるでしょう。以前このコラムでも触れたかもしれませんが、税理士という職業が魅力を失いつつあることが数字からも読み取れるというわけです。
そのような状況下、弊社スタッフの受験生諸君の戦績も悲喜こもごもでした。既に4科目に合格していて、あと1科目という場合を麻雀用語に例えてリーチと言いますが、そのリーチがかかっていながら自摸(ツモ)れずに涙をのんだ連中もいれば、4科目目に合格して新たにリーチをかけた連中も登場するなど様々です。
若い人たちには試験にチャレンジすることを勧めています。試験休暇を付与したり、受験学校への通学の便宜を図ったりと各種の支援をしているのもそのためです。もっとも、これは資格はないよりはあった方が良いというだけのことであって、資格を取ることがゴールではないとも言い続けています。ブラックジャックは医師免許がなくても優秀な外科医でした。医師免許があってもヤブ医者がいるのと同じで、税理士の資格を持っているからといって仕事ができるとは限らないのが現実なのです。