新型コロナウイルス感染者が急増する欧州では、主要各国で飲食店の営業禁止や外出制限の強化等に踏み切ったようです。英国では、首都ロンドンを含むイングランドで約1カ月間のロックダウン(都市封鎖)を実施するとのことですし、ドイツでも今日11月2日から飲食店や娯楽施設の営業が禁止されると報道されています。各国の規制強化にはクリスマスまでに感染を抑え込みたいとの思惑があるようですが、欧州経済の失速は避けられないでしょう。
それに比べて、我が国では感染者は漸増しているものの急拡大という状況ではないことに安堵する一方で、欧州の状況との違いは何なのでしょうか。この点に関して、ある医学者によると、手洗いの励行やマスク装着率の高さなど日本人特有の清潔感に依存するところが大きいとのことです。ウイルスは自らの生存に他生物の細胞を必要とすることから単独で空気感染することはなく、必ず水分を伴う飛沫感染によることが分かっています。したがって、この飛沫から防御する意味での手洗いやマスクが有効というわけです。
ところで、新型コロナウイルスに翻弄された2020年も残り2ヶ月となりましたが、振り返ればSARSコロナウイルスを病原体とする重症急性呼吸器症候群の流行は2002年、MERSコロナウイルスによる中東呼吸器症候群の侵襲は2012年でしたから、人類はほぼ10年サイクルでコロナウイルス禍に遭遇しているわけです。その意味では、今年の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大も予想できたとも言えます。あるいは換言すれば、10年後の2030年には再び新たなコロナウイルス禍に遭遇することはほぼ間違いないでしょう。
今年のCOVID-19によって社会は大きく変わりました。いや、変わらざるを得なかったというのが正しいのかもしれませんが、それは決して一過性のものではなく、10年後のCOVID-2030?の襲来にも備えるものでなければなりません。つまり、アフターコロナ云々といった話題は、単に今年のCOVID-19の出口だけを考えるのではなく、10年後の2030年にも通用する社会システムや経済活動の大きな変革を視野に入れたものでなければならないと思います。