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2020.09.14|CEOコラム

間違えるわけがない ~CEOコラム[もっと光を]vol.32

 京都造形芸術大学から「京都芸術大学」への校名変更が市民に誤解を与えて混乱を招いているとして、「京都市立芸術大学」を設置する公立大学法人が京都芸術大学の設置者である学校法人に対して校名の使用差し止めを求めて提訴するという前代未聞の事件が話題になっています。当コラムでも昨年9月にこの事件を紹介し、「今後の推移を生暖かく見守ることにします」とコメントしていましたが、先月末、大阪地裁は公立大学法人側の主張を退けました。

 

 地裁判決によると、「京都市立芸術大学」の名称が他大学と識別できる機能を持つ部分は、「京都」でも「芸術」でも「大学」でもなく、設置主体を示す「市立」の部分であって、その有無で両者が異なる大学であることは明らかであり、市民が「類似のものとして受け取る恐れがあるとはいえない」としました。極めて常識的な判断だと思いますが、これを不服とする公立大学法人側は大阪高裁へ控訴したとのことです。

 

 しかし、よく考えてみますと、例えば、京都大学と京都府立大学も両者を識別する機能は「府立」の部分にあるのであって、「京都」でも「大学」でもないことは明らかです。「府立」の有無によって両者は明確に識別されていて、これを混同するような市民も、あるいは受験生も誰一人としていません。そのような事例は全国にも多数あり、近隣でも大阪大学と大阪府立大学や大阪市立大学、滋賀大学と滋賀県立大学など枚挙に暇がありません。

 

 つまり、公立大学法人側の主張は、いわゆる「まぁ、気持ちはわからないでもないけど…」という程度のものに過ぎず、訴訟にまで持ち込んで白黒をつけようなどというのは大人げない話しです。公立大学法人側の代理人は、弊社の商標権侵害訴訟でもお世話になった知財専門の弁護士さんですので、ここは応援したいところですが、話の筋が良くありません。しかし、控訴にあたって代理人を降りられたと聞き、なるほどと納得しています。それと事件の当事者はあくまでも公立大学法人であって京都市ではないはずですが、なぜか市長がマスコミで「控訴審で適切な判断がなされることを強く望んでおります」などとコメントするに至っては、やはり「こりゃ、ダメだ…」と思わざるを得ません。で、控訴審の判断を楽しみに待ちたいと思います。

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