先週からテレビドラマの「半沢直樹」が7年ぶりに再開され、昨26日には第2話が放映されました。前作で流行語になった「倍返しだ!」のセリフは、筆者がモットーとする「恩も仇も倍にして返す」にも一脈通じるところがあり、今後の展開を楽しみにしています。
今回のストーリーでは、上場会社であるIT企業間における「TOBによる敵対的買収」が端緒とされています。ライバル会社が突如として30%を保有する大株主として登場する原因に共同創業者間における内紛が描かれていましたが、世間では十分にあり得るリアルな話でドラマの目の付けどころとしては悪くはありません。
しかし、目の付けどころはともかく、第2話では敵対的買収の対抗策としての新株発行がテーマとなっていましたが、これに関しては、どうもドラマ感が満載でリアルさに欠けていたのが残念です。そもそも、設定が上場会社ですから、株主総会ではなく取締役会での新株発行決議で足りるとは言うものの、「あれ、既存株主に対する募集事項の開示はしなくていいの?」とか「法令に違反する新株発行は差止請求の対象になるけどなぁ…」などと思わず突っ込みを入れたくなる場面がありました。
所詮はテレビドラマですから面白可笑しければいいのであって、会社法上の細かなことを突っ込んでも「しらける」と叱られそうですが、そこは筆者の職業病で、すんなりとは合点がいかないところです(笑)。とはいえ、良いドラマや映画というものは時代考証や法律監修などもきちんとできていてこそですから、その意味で本当の名作というものにはなかなか出会えなくなったことを密かに嘆いています。