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2020.07.13|CEOコラム

読み甲斐のある監査報告書~CEOコラム[もっと光を]vol.23

 新型コロナウイルス感染症対策の禍中、開催時期や開催方法について何かと話題になった3月決算会社の株主総会でしたが、それも一段落して、その後、各社からは順調に有価証券報告書が提出されているようです。こうした中、あまり注目されることなく静かに変化しつつあるものがあります。それは、有価証券報告書に登載されている監査報告書の書きぶりです。

 

 従来の監査報告書は、原則として標準文例に従って作成されており、どの会社の監査報告書もコピペかと見紛うような代わり映えのしないものでした。ましてや、そこで表明される意見が企業の作成した財務諸表を適正と認める「無限定適正意見」である限り、財務諸表の利用者に何か特別の情報を提供するものとはなっていませんでした。

 

 ところが、監査の品質向上が喫緊の課題となる中で、財務諸表の適正性についての意見表明に加えて、監査人が着目した虚偽表示リスクなどを監査報告書に記載することが求められるようになりました。これが、KAM(Key Audit Matters)、つまり「監査上の主要な検討事項」といわれるもので、財務諸表の利用者に対して監査意見とは別に追加的な情報を提供することによって資本市場の透明性や公正性を確保しようというものです。

 

 その適用時期は、実は2021年3月期からなのですが、今年から早期適用をしている会社がいくつかあります。例えば、トヨタ自動車の監査報告書には監査上の主要な検討事項として「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」が記載されており、その内容と監査上の対応について説明されています。また、三井不動産の監査報告書には施工不良で建て替えを余儀なくされた横浜市内の分譲マンションに係る会計処理等について、その内容と監査上の対応が記載されています。今までの標準文例による監査報告書に慣れ親しんだ目には新鮮であり、かつ「読み甲斐のある」監査報告書がデビューしたのですが、残念ながら世間の関心は他のところにあるようです…

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