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2020.04.27|CEOコラム

医療崩壊に次ぐ会計崩壊~CEOコラム[もっと光を]vol.13

 新型コロナウイルスの感染阻止策が奏功しない中、既に医療崩壊は現実のものとなっていますが、その一方で社会のインフラであるはずの会計制度にも崩壊の足音が忍び寄っています。

 過日の日経新聞が報じるところによれば、新型コロナウイルスの感染拡大で会計基準を厳格に適用すると金融機関や企業の決算が極端に悪化するため、当局は将来の価値を過度に悲観的に見積もる必要がないという姿勢を示しているとのことです。つまり、将来の損失に備えた引当金の設定や収益稼得力を減じた固定資産に対する減損損失の計上などを先送りすることを容認して企業の財務体質が毀損することを防ごうというのです。そして、その目的が銀行融資や企業の資金調達を円滑にすることにあるとの記事には思わず目を疑いました。

 そもそも会計とは、企業の経営実態を示すものであり、たとえ企業が窮境に陥ったとしても、その事実を開示することこそが使命のはずです。だからこそ、厳格な会計ルールが存在し、それに対する準拠性を監査を通じて担保することによって財務情報の品質が保たれているのです。

 それにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が甚大であるからといって、会計ルールの適用要件を緩和して、深刻な実態から目をそらそうという姿勢には驚きを禁じ得ません。影響が甚大であればなおのこと、その実態を直視することこそが重要なのではないでしょうか。不都合な真実に目を瞑ってしまったのでは、将来に禍根を残すことになると憂慮します。
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