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2020.04.13|CEOコラム

「会計上の見積もり」の危うさ~CEOコラム[もっと光を]vol.11

 コロナウイルス禍に伴う業績悪化を和らげるために、企業の減損処理については柔軟に判断できるよう会計ルールの弾力化が検討されているとの新聞報道を受けて、企業会計基準委員会は火消しに躍起となり、去る4月9日付で「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方 」を公表しました。

 それによると、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難であるため、 会計上の見積りを行うことが極めて困難な状況となっている」と、現下の状況を真摯に分析し、「新型コロナウイルス感染症の影響については、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、外部の情報源に基づく客観性のある情報が入手できないことが多い」と自認しており、それについて異論はありません。

 しかし、「感染症の影響のように不確実性が高い事象についても、一定の仮定を置き最善の見積りを行う必要がある」とこの期に及んでも天に唾することを考えているのです。そもそも「一定の仮定」とは何なのでしょうか。まさか「ウチの会社では収束(終息?)時期を×月頃と見込む」とか、「いや、ウチは来年の×月頃と予想する」といった各社各様の仮定を置くことを想定しているのでしょうか。

 この点については、「見積りを行う上での感染症の影響に関する一定の仮定は、企業間で異なることになることも想定され、同一条件下の見積りについて、見積もられる金額が異なることもあると考えられる」と言葉を濁し、「このような状況における会計上の見積りについては、どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、 財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要がある」と結局は会計情報の利用者の判断に一任(丸投げ?)しているのです。減損会計のみならず繰延税金資産の回収可能性など「会計上の見積もり」を必要とする場面は少なくありませんが、コロナウイルス禍という非常事態を受けて、「見積もり」の危うさや脆弱性が図らずも露呈したというわけです。
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