Menu

Column

スタッフコラム

全拠点
2020.03.16|CEOコラム

中途半端なウイルス対策~CEOコラム[もっと光を]vol.7

 「距離を置く」というと、他人と積極的に交流しようとしない様子、あるいは相手に対して打ち解けようとしない姿勢のことを言いますが、仕事柄、他人様との距離をできるだけ空けないように努めてきた者にとっては、縁遠い言葉のひとつです。

 以前、監査(Audit)の語源が「聞く(Audio)」に由来するというお話しをしましたが、監査業務の基本が「聞くこと」である以上、監査対象会社と距離を置いていたのでは仕事になりません。監査でなくても、経営者に寄り添って経営課題の解決をお手伝いしようというのであれば、これも経営者と距離を置いたままではできない相談です。ましてや、家庭裁判所での調停となると、当事者双方の言い分にしっかりと耳を傾けて争点を整理し、いわゆる「落としどころ」を探っていかなければならないのですが、ここも距離を保っていたのではなかなか捗らないことは容易に想像がつくと思います。

 ところが、先日、家庭裁判所の調停室を訪れたところ、これまでは調停委員と当事者は長方形のテーブルの長辺に向かい合って座っていたのですが、短辺同志で向かい合って座れとの指示。要は両者の間隔を1メートル以上確保するというウイルス対策の一環だそうです。確かに、このご時世ですからやむを得ないのでしょうが、だったら、その趣旨に沿って少し寒いけれど窓を開けて換気をしてお互いのリスクを低減しようと提案したところ、窓を開けると話が外部に漏れるので守秘義務上具合が悪いとのこと。

 「壁に耳あり障子に目あり」を心配することも理解はできますが、ウイルス対策としてはいかにも中途半端。「頭隠して尻隠さず」であり、「画竜点睛を欠く」ようでは意味がありません。結局、狭い部屋で形ばかりの距離を置いた調停が始まったのですが、お互いの間隔が拡がった分、却って大きな声を出すので、対策としては逆効果。調停終了後、手洗いとうがいをいつもより念入りにしたことは言うまでもありません。
メールマガジン
登録
お見積り
ご相談