1.軽減税率制度の概要
軽減税率制度とは、消費税率を現行の8%から10%に引き上げる際、低所得者層に配慮する観点から、「酒類・外食を除く飲食料品」や「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」については、消費税率を8%に据え置くものとされています。
(参考) 政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/index.html
2.「影響」と「対策」
この点については、『商品管理』と『申告・納税』に関するものがあります。
『商品管理』
「影響」
- 日々の業務において、商品によって8%(軽減税率と呼ぶ)と10%(標準税率と呼ぶ)という複数の税率が混在することで、顧客(消費者)から消費税率を聞かれる場合や、顧客(事業者)から請求書(領収書)の発行を求められる場合があります。
「対策」
- 適切な商品管理と個々の商品の適用税率を把握しておく必要があります。
- 複数税率に対応したレジの導入等やシステムの改修等が必要になる場合があります。
『申告・納税』
「影響」
- 申告にあたって適切に消費税額を計算するため、軽減税率と標準税率を区分して記帳、経理する必要があります。
- 申告納税にあたっては、現行の「請求書等保存方式」から、導入時の平成31年10月以降の4年間は、事業者等の負担にも配慮し、簡素な方法「区分記載請求書等保存方式」である税額計算の特例が導入されます。
- 平成35年10月以降は、複数税率制度に対応した仕入税額控除方式として、「適格請求書等保存方式」が導入される予定となっています。
「対策」
複数税率に対応した請求書等の発行が求められます。
(参考)財務省→適格請求書等保存方式の導入、税額計算の特例等
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/keigen.htm
3. どのようなサポートがあるのか? 知っておきたい補助金の活用!
平成31年10月からの消費税の軽減税率制度の実施にあたり、複数の税率に対応できる「複数税率対応レジ」を購入する小売店もあるかと思います。その場合、費用の一部は、中小企業庁が中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)を通じて補助されます。また、既に導入済みのレジを改修する費用や電子的な受発注システムの改修などに対する支援も行われます。
補助金の具体的内容
「複数税率対応レジによる導入等支援」による補助金
- 対象者は、複数税率対応のレジが必要となる中小の小売事業者(複数対応レジを持たないものに限る)となっています。
- 補助額はレジ1台あたり20万円が上限で、補助率は原則2/3となっています。
- 例外として、タブレット等の汎用端末は周辺機器とのセット購入のみ補助対象となっており補助率が1/2という条件となっているほか、1台のみ購入する場合で、かつ導入費用が3万円未満の機器については、補助率が3/4受けられるなどの内容となっています。
- 商品マスタの設定や機器設置に費用を要する場合は、上記とは別に1台あたり20万円を上限に支援し、複数台申請等については1事業者あたり200万円が上限となっています。
「受発注システム改修等支援」による補助金
- 対象者は、電子的に受発注を行うシステムの改修等を行う必要がある中小の小売事業者、卸売事業者で、補助率は原則2/3となっています。
- 補助の上限金額は小売事業者の発注システムの場合は1,000万円、卸売事業者の受注システムの場合は150万円、発注・受注システム両方の場合は1,000万円となっています。
(参考)軽減税率対策補助金
4.軽減税率実施に向けて、準備は万全ですか?
最後に、政府も事業者の皆さまの対応に向けた取組をサポートするため、比較的充実したサポート体制を整えています。
申請受付期限は平成30年1月31日まで(内容によって事前申請、事後申請のものがあります)となっていますので、まだ対策ができていない事業者の方は、補助金を有効活用し、対応遅れのないように準備を進めていただければと思います。
なお、軽減税率制度の実施に伴う申告・納税について、お困りのことがあれば、お気軽にご相談下さい。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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