1.人材育成の実態
はじめに、皆様に質問です。「皆様の周りで人材育成に長けている人はいますか?」と聞かれた際に思いつく方は身近におられますでしょうか。
「この人は人を育てるのがうまいな」、「フィードバックがしっかり行えているな」という方はあまり思い浮かばないのではないでしょうか。
一方で、巷には部下の育成論やノウハウが溢れています。流通しているということはそれだけ需要があるという事だと思います。
流通しているにも関わらず、実際に実践できている方は一体どの程度おられるのでしょうか。
実践に落とし込めない理由は何なのでしょうか。
・自分は厳しく育てられた。だから部下、後輩にも同じように行う
・育て方がわからない
・自分の業務が忙しい
上記以外にも理由は多岐にわたると思います。
人材をうまく育成できないことは非常に根強い問題だと捉えています。
2.放置しないことの重要性とトレンド
人材育成に当たり、「厳しい環境でしか人は成長しない」、「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」とはよく言ったものですし、確かにそうかもしれません。ただ、それだけでは不十分だと考えます。
自分で考えて、悩んで捻りだしたものは結果の如何に関わらず、自身の力になり、自信になり、財産になるでしょう。
ただ、全員がそのように成果を出せるわけではありません。
途中で挫折してしまう方もおられます。社内から否定され、自分で自分を否定することになりかねません。
加えて、やり方がわからない、忙しい、とフィードバックを怠ることになれば折角、能力があるにも関わらず、会社に悪印象を持ち、結果的に人材を流出させることにも繋がります。これは会社に対して大きなマイナスを与えているのではないでしょうか。
きっかけを与える、道筋を提案する、評価し褒める、これらはそんなに難しいことでしょうか。
「いやいや自分は他者を評価しているよ」と仰る方がいますが、誰もが認める、目に見えて結果を出している方を褒めることはフィードバックとしては効果が薄く、また誰にでもできます。
まだ大きな成果とはなっていなくとも着実に歩を進めている人に気づいて引き延ばすことが意味のあるフィードバックだと考えます。
優秀な人材を使うことは誰にでもできます。これからは如何に普通の人材が会社の戦力として働いてもらえるかが重要ではないでしょうか。
また、今や高圧的な態度や上からの命令では若い人材は動きません。細かく説明せずに指示をすると、「嫌です」「忙しいです」と断られたという事例もよく聞きます。
ひと昔前であれば上司からの指示は粛々とこなすものという風潮がありましたが、今は違うのです。過去のやり方は通用しません。指示、教育を受ける側の姿勢も大切ですが、指示を行う側も考えをアップデートする必要があります。
3.人材育成の役割とポイント
人を育てることは、社会にとって重要な役割を果たします。個々の能力や才能を引き出し、成長させることは、その人の生涯にわたる幸福感や成功につながります。
以下が筆者が考える、人を育てる上での重要なポイントです。
【理解と共感】 人を育てる際には、その人の状況や背景を理解し、共感することが重要です。他人の立場や感情に寄り添うことで、信頼関係を築き、育成のプロセスを円滑に進めることができます。
【自己肯定感の促進】 成長する上で自信を持つことは非常に重要です。人を育てる際には、その人の強みや良い点を認め、肯定的なフィードバックを与えることで、自己肯定感を高めるサポートをすることが必要です。
【挑戦と成長の機会】 成長は快適な状況では生じません。人を育てる際には、彼らが自身の限界に挑戦し、失敗や困難から学ぶ機会を与えることが重要です。挑戦に対するサポートやフィードバックは、成長を促進します。
【ロールモデルとしての振る舞い】 人を育てる際には、言葉だけでなく、自分自身の行動や態度が重要な役割を果たします。良いモデルとなることで、他者に良い影響を与え、理想的な行動や価値観を示すことができます。
【フィードバックとサポート】 成長する際には、適切なフィードバックとサポートが不可欠です。建設的なフィードバックを提供し、必要に応じて指導や支援を行うことで、成長を促進することができます。
4.終わりに
いかがでしたでしょうか。上記以外にも大切なことはあるかと思いますが、まずはできるところから始めることが人、社会のためになるのではないでしょうか。
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(文責:京都事務所 馬場健斗)
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