1.分散型台帳とは?
ビットコインや仮想通貨というと、不正流出や相場の乱高下といった負の印象を持たれる方もおられると思いますが、実はこのビットコインを支えている分散型台帳の仕組みは非常によくできており、2008年の運用開始から一度もデータ改竄やシステムダウンをしていません。
経済産業省のブロックチェーン技術に関する調査報告書(http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428003/20160428003.html)にも「ビットコイン等の価値記録の取引に使用されているブロックチェーン技術は、その構造上、従来の集中管理型のシステムに比べ、『改ざんが極めて困難』であり、『実質ゼロ・ダウンタイム』なシステムを『安価』に構築可能という特性を持つともいわれ、IoT を含む非常に幅広い分野への応用が期待されています。」と書かれていることからもわかるように、今後の私たちの暮らしにとって大きな影響をあたえる可能性のある仕組みであるといえます。
※経済産業省の「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」より引用
2.ビットコインはどこにある?
ビットコインは誰でも参加できる「分散型台帳」上に存在します。そこには管理者がおらず、世界中の誰でもが不正がないかをチェック可能であり、勝手に書き換えられない状態で存在しています。「AさんからBさんに100ビットコイン渡した」といった情報は約10分後に世界中に分散された台帳に記入され、誰も書き換えられない形で記録されることになります。
仮想通貨というと、「勝手に消える」や「実体がない」といったイメージを持たれる方も多いと思いますが、ビットコインは発行されてからのすべての取引履歴が台帳に記載されており、分散型台帳の仕組みを利用している世界中のパソコンが一斉に壊れない限りは、消えてなくなることはありません。この中央管理者が不要で、約10分後に世界中のパソコンに分散して改竄が不可能な形で記録される技術(ブロックチェーン技術)は土地の登記や婚姻証明といった権利証明行為の非中央集権化の実現という観点からも注目されています。
3.ビットコインの安全性
ビットコインの安全性を考えてみると、前述のブロックチェーン上に記録されいることから、安定性、改竄防止、取引の透明化においては非常に安全であるということができます。しかし、個人の資産としての安全性の面においては、さまざまな危険性があります。
1)ハッキング、盗難のリスク
自分の財布の中に入っている現金の場合は、自分の身の回りだけに気を配っていれば守ることが可能なのに対し、仮想通貨はインターネット上で取引されるのでハッキングや、盗難の危険性は高くなります。正しい知識と対策をすれば安全性を向上させることも可能ですがインターネット上に仮想通貨を保存している場合は、24時間365日、世界中の犯罪者から身を守る必要があります。
2)仮想通貨取引所のリスク
ビットコイン交換所のマウントゴックスのビットコイン消失事件や、コインチェック社の仮想通貨NEM不正流出事件など、サービス提供側の都合により、預けていた仮想通貨がなくなったり、引き出せなくなったりする可能性があります。
3)管理者がいないことによるリスク
口座番号とパスワードを忘れた場合や、間違った口座に送金した場合に、通常の銀行であれば、銀行側がパスワードの再発行や組み戻し手続きをしてくれますが、ビットコインの場合は管理者がいないのですべて自己責任となり送金を取り消すことはできません。銀行の口座番号と暗証番号にあたるアドレスと秘密鍵を忘れたり紛失した場合も引き出すことはできなくなります。
4.まとめ
仮想通貨を始めるにあたり、まず仮想通貨を支える「分散型台帳」技術について考えてみました。この仕組みは非常によくできており、管理者がいない状況においてもさほどコストをかけずに、改竄されることなく、安定して情報を記録できるることから、将来、私たちの暮らしを一変させる可能性を秘めています。ビットコインについても、ビットコインの仕組み自体は非常に安全で安定しているものの、個人の資産運用という面においては紛失、盗難や管理者がいないことによるリスクがあることがわかりました。ビットコインの取引を始めるにあたってこれらのリスクを正しく理解した上で運用する必要があります。
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