1.ゲーミフィケーションとは
ゲーミフィケーションとは「ゲームに使われている構造をゲームとは別の分野で応用すること」です。
ゲーミフィケーションという言葉自体は、2011年前後から使われるようになりましたが、ゲームの要素や仕組みを活かすという考え方は、全く新しいものではなく、以前からありました。しかし、その構造を体系的にまとめられたことで、概念として成立したのです。
・レベルに応じてもらえる特典を与える
・同じ目標を持つ対象者を集めてオフ会を設定する
などはまさにゲームの要素を応用したものと言えます。
ちょっと、コワイ言い方をすると、ゲーミフィケーションはなんでもかんでもゲームにすればいいというものではなく、あくまで対象者(ユーザー)を熱中させ、こちらの意図通りに行動をコントロールしていく仕組みなのです。
2.ゲーミフィケーションが注目される理由
皆さんは家庭用ゲーム機などでゲームをやったことはありますか?
私は、ファミコン世代の人間ですが、時間を忘れてゲームに熱中したせいで母親の怒りを買い激しく叱責された経験があります(笑)。これは、もうファミコン世代以降は全員、「あるある」かもしれませんね。
しかし、なぜ、母親に叱られるほど熱中させるのかと不思議に思いませんか?
これは、たまたま自分が熱中したのではなく、熱中させられてしまっている、という方がある意味正しいと言えます。
ゲームは、たくさんのクリエーターが関わり世に出されます。そうしてできたゲームは、ユーザーに見向きされなければ、投資回収できずに大赤字になってしまいます。多少の差はありますが、大くくりで言うとゲームはそういうビジネスモデルなのです。その点で言えば、ヒトを熱中させるための様々な仕掛けや全体としての仕組みがあるのは当然と言えば当然です。
ただ、この人を熱中させ、惹きつける「仕組み」は、ビジネスにおいて漏れなく必要とされる要素であるので、注目を浴びているわけです。
3.ゲーミフィケーションの5つの要素
ゲーミフィケーションには5つの要素があるとされています。
①目的、②クエスト、③報酬、④可視化、⑤交流
です。
①目的
対象となる相手(プレーヤー)に対し、分かりやすいゴールを設定します。
すぐに達成できるようなゴールでは、充実感を得られないため、頑張ればなんとかできるかもしれないというレベルのものが良いでしょう。
例えば、
・難易度の高い資格を取得する
・高い予算を達成する
・競争に勝つ
②クエスト
大きな目標があっても、初心者は何をしたらいいかわかりません。対象者に目標に向かって正しい行動を取ってもらうための小さな課題(クエスト)を難易度順に順番に設定し、手順通りにこなしていけば、いつの間に目標に到達するという仕掛けが必要です。
このクエストがあれば、迷うことなく、目の前のクエストをこなすのに全力を傾けるようになります。
スタンプを順番に集め、いつの間にかゴールするというスタンプラリーは、その具体例と言えます。
③報酬
クエスト達成だけでは、対象者はなかなか満足しない場合がほとんどです。
継続的にクエストをこなし続けてもらうため、報酬を準備しておく必要があります。
全てのクエストを集めた人には、景品を用意する
定期的に報酬を渡す
難易度の高いクエストをクリアした人には、特別な報酬を渡す
④可視化
ゴールに向け、クエストの進捗状況を見える化すると、対象者間の間で競争意識が芽生え、モチベーションを高められます。
全体ランキングを出す
達成度をビジュアル化する
⑤交流
参加者同士の交流の場を設けると、お互いにクエスト達成に向けて情報交換したり切磋琢磨したりして、高いモチベーションを保つことがあります。
これら5つの要素を組合わせることで、対象者を熱中させることが可能となるのです。
4.まとめ
現在は、昔と違って、情報化社会が進展し、経済環境の変化も激しくなっており、企業にとっては厳しい競争の世界となっています。
そんな中、企業が勝ち残っていくには、従業員全員が共通の目標に向かって正しい行動を取る必要があります。しかし、従業員のモチベーションには波があり、なかなか経営者の意図通りに行動してもらうのは難しい場面が多くあるのではないでしょうか?そんな時、従業員にモチベーションを与え、共通の目標に向かって行動させる仕組みとして、ゲーミフィケーションを応用されてはいかがでしょうか?
(文責:経営コンサルティング事業部 北村 佳照)
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