1.法人を作るメリットの検討
まずは、法人化を行うメリットがあるのか検討を行う必要があります。
①金額に表せない法人化の理由
具体的には、下記のようなものがあげられます。
・法人化をしなければ取引が出来なくなる。
・個人事業のままでは今後の取引が見込めない。
法人は個人事業に比べて信用力が高く見られるケースが多いのも事実です。数年や数十年を見据えたうえで個人事業のままで事業を行っていくべきか、法人化を行って事業を行っていくのかを比べて判断する必要があります。
その他の視点では、スタッフを採用する目線で法人化をしておくべきかを検討します。
雇用される立場から見れば、末永く働き続けられる場所なのかは応募に際しての重要な要素です。
個人事業の中で勤務をするのか法人の中で勤務をするのかを意識される人も多いため、採用目線は欠かせません。
上記は数字に表れない事ですので、メリットを判断するにあたって明確なものはありません。一つの目安としては、事業を5年10年と今後も継続して行うために採用していかなければならないことをイメージできるかが判断ポイントになります。
②数字に見える法人化の理由
数値化出来るものとして、税負担の違いを検討します。なぜ違いが出るのかについてですが、個人事業では所得税。法人には法人税という課税が行われます。そもそもの税金の計算方法が異なりますので、一定の稼ぎが得られるようになってくると個人での税負担が法人の税負担を超えてくるようになってきます。
一定の水準以下である場合には個人事業の税負担が低くなりますので、その水準に至っているかどうか、又、今後を考えてその水準に至るのかを検証します。
目安としては所得金額がおおよそ600~800万前後ですが、この判断には税理士をまじえて検証する方が間違いのない進め方にできると思います。
その他、無視できないコスト増加の要因として社会保険の負担が増加する事、個人事業に比べて税理士費用が増加する傾向にあること、設備投資などの要因を含めた消費税の負担。などを数値化して手元資金や借入などを織り込んで実行出来るかを判断します。
上記の通り、数値に表せない法人化をすべき理由と数値に表せるメリットを全て並べる。そのうえで初めて個人事業を法人化すべきなのかの材料が揃うことになります。
以上が法人を作るメリットの検討の手順です。
その他、コスト増加の要因として社会保険の負担が増加する事、個人事業に比べて税理士費用が増加する傾向にあること、設備投資などの要因を含めた消費税の負担。これらを数値化して手元資金や借入などを織り込んで実行出来るかを判断します。
すべての理由をテーブルに並べる。
そのうえで初めて個人事業を法人化すべきなのかの材料が揃うことになります。
2.個人事業の最後の年は確定申告が必要
1月1日から12月31日までの確定申告は必要であることに変わりはありませんので、事業を廃止した年も確定申告は翌年3月15日までに例年通りの確定申告をしなければなりません。
3.在庫や事業用資産が多い場合は消費税の確認を
事業としてお客様から消費税を預り、毎年の確定申告で税務署に所得税と別に消費税を納付されている方を「消費税の課税事業者」といいます。
個人事業をされている方は、個人事業を廃業して法人を作り、今まで個人事業として行っていたことを法人がそのまま引継ぐケースが多いのですが、事業で使われている在庫や事業用資産を法人に引継がせることもセットであり、その方法が一般的には売却となります。
在庫や事業用資産が仮に1,000万程あれば、単純に消費税率10%としても100万円の消費税を個人事業の最後の確定申告で納める必要があり、資金繰りに影響する金額です。
実際の現場でも、引渡すだけで納める消費税が増える事を想定していなかったケースが散見される事例です。
4.青色申告届出書は期限内に忘れずに
法人を新たに作った後の話ですが、法人は個人事業とは全く別の存在です。税務署や県、市町村への設立届出書と共に「青色申告承認申請書」は必ず出しておきたい申請書。
青色申告のメリットとして「赤字を最長9年間繰り越せること」は事業をされるうえで使えるようにしておくべきです。
青色申告承認申請書には設立日から3ヶ月以内という期限がありますので出し忘れたという事は避けたいものです。
5.最後に
経営基盤を作るうえで法人化は1つの大きな材料です。
個人事業を法人化すべきかの判断は各自の理由や外部環境により様々なケースが考えられます。
ベストが何かを一概には判断できませんので、設立前に税理士に相談しておくことをおすすめ致します。
当社でも相談に対応していますので、お気軽に活用頂ければ幸いです。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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