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2022.06.20|経営 税制改正

インボイス制度をご存じですか?

インボイスとは、適用税率や税額の記載を義務付けた請求書等のことを指し、この記載義務を満たした請求書(=適格請求書)に基づき、消費税を計算・納税し、証拠資料として保存するという制度です。よって、課税事業者は適格請求書を作成するための準備が必要になります。逆に、免税事業者は適格請求書の発行は出来ません。
また、消費税の仕入税額控除ができるための請求書は、2023年10月1日以降は適格請求書が要件となるので、免税事業者の請求書は適格請求書ではないため、課税事業者と免税事業者との間に取引がある場合には、お互いに話し合い、今後の取引をどうしていくのかを決める必要があります。
このコラムでは、インボイス制度導入に伴い、この2つのポイントが大きな論点となりますので、この2つに絞って詳しくご紹介させて頂きます。

1.インボイス制度とは?

最近、「インボイス制度」と言う言葉をよく耳にするようになりましたが、これは通称であり、正式には、「適格請求書等保存方式」と言われるものになります。この制度は、2023年10月1日以降、対象となる全事業者に適用されることになります。

ここで言う「インボイス」とは、適用税率や税額の記載を義務付けた請求書等のことを指し、「インボイス制度(=適格請求書等保存方式)」は、この記載義務を満たした請求書(=適格請求書)に基づき、消費税を計算・納税し、証拠資料として保存するという制度です。

具体的に、適用税率や税額の記載を義務付けた請求書(=適格請求書)等とは、下記の要件を満たした請求書等のことを言います。
・適格請求書発行事業者の、氏名または名称および登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
・税率ごとに合計した対価の額および適用税率
・消費税額
・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

2.適格請求書発行事業者とは?

そうなりますと、請求書を発行する全ての事業者が適格請求書を発行しなければならないと思われると思いますが、実はそうではありません。適格請求書は、消費税の課税事業者だけが発行することを認められています。

これを聞いて、「えっ、免税事業者はどうなるの?」と思われた事業者様も多いのではないでしょうか?

ここで、消費税の課税事業者と免税事業者の要件を簡単にまとめさせて頂きます。
前提として、2期以上、事業を継続されている事業者様を対象にしますと、
・2期前の課税売上高が1,000万円未満
  かつ
・1期前の事業年度開始の日から6か月間の売上額が1,000万円以下または1期前の左記の同期間の給与等支払額の合計額が1,000万円以下
の要件を満たせば、納税が免除されています。つまり、これが消費税の免税事業者と言われる方々です。

話を元に戻しますと、消費税を納めていない事業者である免税事業者はインボイス制度から除外され、適格請求書を発行することが出来ないということになります。

3.2023年から導入されるインボイス制度でどうなるの?

ここまでの話をまとめると、消費税の課税事業者が、2023年10月1日以降、請求書を適格請求書に変更出来るように、消費税の各課税事業者様は、システム等を変更して、対応していかないといけないんだろうと思われる方も多いのではないでしょうか?
仰られるとおり、その通りなのですが、課税事業者に関しては、この対応で事務的には終わります。

しかし、ここで、適格請求書のことで、もう1つ知っておく必要があります。
それは、消費税の仕入税額控除(=消費税を算出する際に課税売上の消費税額から課税仕入の消費税額を差し引くこと)が出来るための請求書は、2023年10月1日以降は適格請求書であるということです。

ここで、課税事業者と免税事業者の間で取引がある事業者様は、仕入税額控除において、もう1つしっかりと考えなければいけない事があるということを認識下さい。

課税事業者様に関しては、まずは請求書を見て、適格請求書かそうでないかを判断して、その仕訳をして会計ソフトへ入力する手間が増えるだけでなく、とりわけ毎月発生する取引先(=主に仕入先・外注先等の支払先)に関して、課税事業者か免税事業者か事前に調べておかないと、消費税がどれだけ増税になるのか全く読めないということになり、資金計画が大きく狂う可能性があるので、事前に取引先が課税事業者か免税事業者か調査を行い、免税事業者の社数、毎月の取引金額等を把握して、その事業者への対応をどうするか協議するようにしておくことをお薦めします。

免税事業者様に関しては、そのまま免税事業者でも良いですが、2023年10月1日が近くなった時、または経過後、取引先から業務終了の連絡が入るかもしれません。なぜなら、取引先からすると、免税事業者への支払いは仕入税額控除が出来ないので、実質消費税が増税となるからです。実際、大手建設会社では、すでに下請け、孫請け・・・末端に至るまで、インボイス制度を採用しない事業者とは取引しないと言われている位ですから、現在もそうですが、2023年10月1日以降も引き続き、免税事業者として継続される可能性の高い事業者様には、制度が始まるまでに、自ら取引先に照会をかけておくことをお薦めします。

4.インボイス制度にどう対応すれば良いの?

課税事業者、免税事業者に関わらず、上記に該当する事業者様に関しては、厳しい状況になることは必至ですが、経過措置や対処方法が少しあるので、ご紹介させて頂きます。

課税事業者に関しては、2023年10月1日以降、いきなり免税事業者に対して、仕入税額控除が出来なくなるということではありません。
2023年10月1日以降、免税事業者の仕入税額控除は、段階的に控除額が減少するという、経過措置が設けられています。
・2023年10月1日から3年間 → 80%控除可能
・2026年10月1日から3年間 → 50%控除可能
・2028年10月1日以降     → 控除不可
よって、増税になるとはいえ、経過措置が設けられている間はまだ増税幅が少ないので、その間に免税事業者と話し合いを行い、今後の取引をどうしていくのか、検討する時間があります。

免税事業者に関しては、上記の課税事業者と同様の事が言えると同時に、話し合いの結果、課税事業者でないと取引を継続しないとなった場合でも、消費税課税事業者選択届出書という届出書を所定の期日までに税務署に提出して承認されれば、免税事業者が課税事業者になることが出来ます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_01.htm
免税事業者からすると、前期と同様の売上と経費であれば、消費税を納税する金額分の利益が減ることになりますが、取引がなくなることを考えれば、課税事業者になった後は、もっと売上を上げることを前提に、この方法も検討することをお薦めします。

 

(文責:大阪事務所 大浦)

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