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2022.02.21|経営

継続される事業再構築補助金の変更点やポイント

令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円と大型予算がつき、話題なった事業再構築補助金。
令和3年度補正予算では、6,123億円の予算がつき、令和4年に3回程度公募予定であると発表されています。
ただ、第6回公募以降では、第5回公募以前のものと内容が変わる部分も出てくるようで注意が必要です。
今回のコラムでは、次回以降の公募についてまとめましたのでご参考ください。

1.補助金申請における注意点

これまで弊社の方で事業再構築補助金の申請サポートをさせていただいていてきました。その中で基本的部分に問題があり、申請ができないというケースがありました。事業再構築補助金の計画策定には、お客様の通常業務と別に多くの時間を割くものですので、せっかく検討しているのに、申請すらできないというのは、残念ですので、第6回公募の申請を目指しておられる方は、本格的な検討の前に一度自社がそれに当たらないかをご確認いただければと思います。
(1)売上が減少していると思っていたら、補助金要件の10%減少に届いていなかった。
 これは、試算表などを毎月チェックしていれば、そもそも防げるものです。どんぶり勘定で下がっているだろうとタカをくくらず、試算表等を確認し、間違いなく、要件を満たすかを事前に確認しましょう。心配であれば、顧問税理士等に確認をされることをお勧めします。

(2)自社の強みなどがわからない
 自社のことがわからないのに計画を描きようがありません。技術は?、取り扱う製品は?、仕入れルートは?、お客様へのサービスは?、何か自慢できることはないでしょうか?そういった点を事前に列挙しておくことは、本補助金のことだけでなく、会社のビジョンや方向性を検討する際非常に大切なことです。是非一度、振り返ってみてください。

(3)とにかく補助金が欲しいだけ。
 たくさん補助金が出るらしいですね。どんな計画にすれば補助金がもらえますか?なんて質問をされる方があります。そういう方は、やめておかれた方がよいでしょう。本業のビジネスモデルを変革し、事業を再構築するために投資を行う。それに対して、補助金でサポートしてもらうというものですから、補助金をもらうことが目的ではありません。最終的に、収益を上げることが目的なのです。まずは、補助金の趣旨を理解されるところからスタートされるとよいと思います。

(4)考えている事業が「再構築指針」に当てはまらない
 売上要件だけでなく、事業再構築の指針にも合致しなければ、要件を満たしません。事業再構築の指針は手引きとしてまとめられております(事業再構築指針の手引き1.5版)。検討されている内容が指針のどれに沿うのか、或いは、どうすれば指針に沿うのかを事前にご検討いただくとスムーズです。

(5)日常業務が忙しすぎて必要書類が申請期限までに用意できない
 お忙しいと思いますが、ご準備いただくしかありません。

2.売上高10%減少要件の緩和

事業再構築補助金には、売上高10%減少要件というルールがあります。

「売上高10%減少要件」については、第3回公募から緩和され、「2020年4月以降の連続する6か月間」も対象とされたものの、
「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」
という縛りがありました。
これを第6回公募以降から撤廃して、
「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」
のみを要件とすることになりました。
これまで、「2020年4月以降の連続する6か月間」の売上減少では要件を満たしているものの、「2020年10月以降の連続する6か月間」の売上5%減少の縛りで要件を満たさなかった方が、第6回公募以降からは対象となります。

3.回復・再生応援枠の新設

これまで業況の厳しい先については、緊急事態宣言特別枠がありましたが、それが廃止され、回復・再生応援枠が創設されます。
回復・再生応援枠の対象は、通常枠の申請要件に加え、以下2点のどちらかを満たすことです。
①2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30以上減少していること
②再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること(詳細な要件は検討中)

補助上限額・補助率は、下表の通りです。

4.グリーン成長枠の新設

第6回公募以降、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、補助上限額を最大1.5億円まで引き上げた新たな申請類型が創設されます。これに伴い卒業枠・グローバルV字回復枠は廃止となりました。なお、この類型では売上高10%減少要件はありません。

※グリーン成長枠の対象となる事業者(以下の3つすべて満たすことが条件)
①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
②補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は、従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
(※通常枠等の他の類型は、それぞれ年率平均3.0%以上増加)
③グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと

補助上限額・補助率は下表の通りです。
  

5.通常枠の補助上限額の見直し

通常枠の補助上限額について、従業員規模に応じ、従来の4,000万円、6,000万円、8000万円から2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円に見直しとなりました。
従業員規模でそれぞれ2,000万円ずつ上限が下げられる形になっています。

6.その他運用見直し

その他の運用見直しとして主に多くの企業で影響を受けるものとして、以下をピックアップします。
(1)補助提唱経費の見直し(建物費・研修費)
① 「建物費」については、原則、改修の場合に限ることとし、新築の場合には、一定の制限を設ける。
②「研修費」については、補助対象経費総額の1/3を上限とする。
上記①のとおり、建設費用は第6回公募以降「改修」のみで、「新築」には制限がかかり、対象経費から外れる可能性があるため、要注意です。

(2)事前着手の対象期間の見直し
事前着手については、2021年2月15日以降の契約・発注が認められていましたが、この対象期間が見直されることとなりました。
既に事前着手をしている場合、見直し後に決定した期間によって第6回公募からの補助対象経費として認められない場合があります。

7.まとめ

※以上、第6回公募以降も継続される事業再構築補助金の変更点やポイントを見てきました。補助金申請は、本業業務以外に多くの時間を費やします。申請について悩みや不安を抱えておられる方は、是非、お近くの専門家や支援機関にご相談されることをお勧めします。(文責:大津事務所 北村)

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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