1.顧問税理士とは
継続した税務サービスを契約する税理士のことを「顧問税理士」と呼びます。
基本的に契約期間は年間で結びます。
会社の経理状況を把握する立場にあり、会社の税務処理や税務署の対応、節税対策など専門的なアドバイスを行います。
また、経営者のよき相談相手となり、さまざまな経営課題に対して解決策を一緒に考えるビジネスパートナーとも呼べる存在です。
顧問税理士と契約を結ぶタイミングは、売上が1,000万円以上になったタイミングで検討すると良いでしょう。
なぜなら、売上が1,000万円以上になると消費税の課税事業者となり、消費税の申告を行う必要があるためです。
経理の仕事や税務処理も複雑になりやすいため、顧問税理士と契約を結ぶタイミングは売上1,000万円を基準にすることをオススメします。
2.顧問税理士に依頼できる仕事内容
顧問税理士に依頼できる仕事内容は下記のとおりです。
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
- 記帳代行
- 給与計算
- 会計参与
- 相続税対策
- 給与支払報告書
- 税務調査の立ち合い
メインの仕事は1~3です。
税理士はメインの仕事に加えて、会計状況の分析や報告・改善の提案などを行います。
ちなみに、税理士の業務は税理士法に定められているので、税理士資格がないと仕事ができない「独占業務」です。
それでは、顧問税理士の仕事内容を1つずつ解説します。
税務代理
税金に関する申告や申請手続きを、納税者の代理人として行う業務です。
基本的に、法人税や所得税・相続税・確定申告などは納税者が自分で計算して納付する必要があります。
しかし、経理の仕事や税務処理が複雑のため、専門知識がない一般人が納付することは難易度が非常に高いため、税理士が納税者の代わりに申告できるようになっています。
税務書類の作成
税務官公署に対して、各種申告書・申請書・請求書・不服申立てなどの提出書類を作成する業務です。
通常、税務書類を作成した税理士が税務代理を行います。
年次や月次の業務は下記のとおりです。
- 年次→確定申告書の作成・決算書の作成・年末調整
- 月次→伝票整理・総勘定元帳の作成・残高試算表の作成・給与計算・源泉所得税納付書の作成
顧問税理士であれば、複雑な税務書類の作成をいつでも依頼することができます。
税務相談
税務に関わるさまざまな相談を受ける業務です。
難しい税務上の疑問について、電話やメールで相談ができます。
会社の規模によっては、ミーティングの時間を作って対面相談をすることも可能です。
記帳代行
会計ソフトの入力や試算表の作成をする業務です。
毎月の伝票や領収書をすべて税理士に渡すことが必要なので、捨てずに保管しておきましょう。
給与計算
社員の給与計算業務です。
毎月の勤怠データを税理士に渡すと、給与所得の計算から源泉徴収する所得税・社会保険料などの計算まで行います。
会計参与
会計参与とは、会社法で規定する株式会社の役員のひとつで、取締役と共同して計算書類等(貸借対照表・損益計算書・事業報告書など)を作成する役目を担います。。
会計参与になれるのは、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人のいずれかに限られます。
そのため、会計参与を設けることで金融機関などからの信用が高くなります。
給与支払報告書
給与支払報告書とは、地方自治体が住民税などを課税するため、会社から受け取っている給与や賞与を把握するための資料です。
複雑な給与支払報告書の作成を、税理士に依頼することができます。
税務調査の立ち合い
税務代理の業務に「税務調査の立ち会い」があります。
税務署は、申告者の聞き取りや会計帳簿・証拠書類を調査します。
この税務調査のときに、税理士は申告者に同行して代理で説明を行うことが可能です。
このように、税理士と顧問契約を結ぶことで、専門知識が必要で、時間のかかる業務の効率化を図ることができます。
3.顧問税理士と契約するメリット
顧問税理士に依頼できる仕事内容がわかったところで、具体的にどんなメリットがあるのか知りたい人もいると思います。
顧問税理士と契約を結ぶメリットとしては、下記のとおりです。
- 経営に専念できる
- 節税対策ができる
- コスト削減に繋がる
- 資金調達で有利になる
- 税務調査に対応できる
- 正確な税金の申告ができる
- 税務についてのアドバイスがもらえる
- 司法書士や社会保険労務士とのネットワークが利用できる
一つずつ詳しく解説します。
経営に専念できる
中小企業や個人事業主は、経営者が経理の仕事を行っていることがあります。
しかし、経理の仕事を税理士に依頼するだけで時間と労力の節約になり、本業に専念できるでしょう。
節税対策ができる
節税を間違えると、脱税をしているとみなされる可能性があります。
しかし、税理士を雇うと、正しい方法で効率的に節税をすることが可能です。
たとえば、助成金や補助金の使用方法・控除の受け方・経費計算などがあります。
節税を行うためには、早めに準備するほうが効果的です。
顧問税理士は節税対策の知識が豊富にあるので、会社経営の強い味方となるでしょう。
経理の人件費削減に繋がる
税理士に経理の仕事を依頼することで、経理の人件費削減が可能です。
たとえば、下記の仕事を税理士に依頼できます。
- 給与計算
- 年末調整
- 記帳代行
これらの業務を社内で行う場合、「採用コスト」「教育コスト」「給与コスト」「福利厚生コスト」などの人件費が膨大にかかります。
しかし、経理の仕事を顧問税理士に依頼することで、人件費削減に繋がります。
もちろん、顧問税理士に支払う費用はありますが、トータルのコストは削減できるでしょう。
資金調達で有利になる
資金調達の方法は下記のとおりです。
- 補助金
- 助成金
- 金融機関の融資
- ベンチャーキャピタルの出資
どの資金調達の方法が最適なのか、顧問税理士からアドバイスを受けることも可能です。
金融機関から融資を受ける場合には、事業計画書の作成も手伝ってもらえます。
また、「顧問税理士がいる」というだけで金融機関や取引先の信頼度も高くなるでしょう。
さらに、「経営革新等支援機関」として認定されている税理士に依頼すれば、融資の保証料が減額されるメリットもあります。
税務調査に対応できる
税務調査の対象になったとしても、顧問税理士が下記の作業を経営者の代わりに行います。
- 事前通知の受領、日程調整
- 必要な書類の準備
- 調査官への説明
こうした仕事を代理で行ってくれるので、経営者は税務調査による「長時間の調査」「精神的負担」から解放されます。
正確な税金の申告ができる
不正確な申告をした場合は、修正申告や追徴課税を支払う必要があります。
ただ、税理士に依頼すれば正確な税金の申告を行ってくれるので、追加課税によるペナルティを防ぐことができるでしょう。
税務についてのアドバイスがもらえる
税務相談ができるのは税理士資格を持つ者だけです。
顧問税理士がいれば、経営者が抱える税務の問題や悩みなど、いつでも相談ができます。
それだけではなく、経営状況を把握した上で、適切な税務のアドバイスを受けることも可能です。
メールや電話・訪問などさまざまな形で対応してくれます。
司法書士や社会保険労務士とのネットワークが利用できる
税理士は、司法書士や社会保険労務士・弁護士などの仕業と繋がりを持っていることが多いです。
なので、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらうことができます。
顧客や従業員同士でトラブルなどがあれば、弁護士や社会保険労務士に相談することがベストです。
税務以外の問題があれば、税理士から他の専門家を紹介してもらうことも可能になります。
4.顧問税理士はコスパがいい
顧問税理士の仕事内容やメリットを解説しました。
税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つの基本的な仕事に加えて、税務や経営・資金調達などのアドバイスも行います。
また、給与計算や年末調整・記帳代行などの経理の仕事も依頼が可能です。
もう少しで売上が1,000万円に達しそうなら、税理士に顧問契約について相談してみることをおすすめします。
また売上が1,000万円程度に達成しているのなら、節税対策や税金の申告・税務上のアドバイスをもらうために、税理士と顧問契約を結ぶことをオススメします。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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