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2021.07.27|経営

事業再生を成功させるためには?

この記事では会社が抱える不採算事業についてお悩みの方や、今後事業を立て直したいと考えている方に向けて、事業再生の概要やその種類、そして再生を成功させるためのポイントについて解説します。ぜひご一読いただき今後の一助としていただければ幸いです。

1.そもそも事業再生とは

事業再生とは、業績不振や債務超過により危機に陥っている企業経営の健全化を図り、さまざまな施策を実施して事業を再生することです。「過去の負債がなくなれば資金繰りが回るか」「再生できる事業があるか否か」などの基準を元に、事業再生を行うべきか判断します。

企業再生との違いは?

事業再生とは、企業が運営する個別の事業を対象に抜本的な改革を行って再生させることを指します。一方、企業再生は存続が危ぶまれる企業が経営悪化の原因を排除して企業全体を再生することです。ただし、いずれも明確な定義はなく、実際にはあまり区別されません。

2.事業再生を実施する理由

事業再生では企業活動のキャッシュフローの見直しを行うことで、採算の取れない事業を撤退、縮小・改善し、収益性のある事業を残して倒産を防ぎます。会社をたたむことなく継続して事業を行えるので、これまで築いてきた社会的価値や信用を維持できます。企業が危機に陥ったときはまず倒産手続きを考えるのではなく、事業再生を考えるのが一般的です。

3.事業再生の方法は大きく4種類に分けられる

事業を再生するためには実際どのような方法が取られるのでしょうか。この項目では代表的な4種類の方法を紹介します。

事業再生の種類1:自社で実施

自社の経営資源のみで事業を立て直せる場合、何が経営悪化の原因となったかを徹底的に分析し、原因を明らかにした上で再生を試みます。なぜなら、採算の取れない事業があれば撤退し、核となっている事業に経営資源を集中して充てることで業績を改善できる可能性があるからです。

また、事業再生を成功させるための経営計画を金融機関に提示して実現可能な返済計画を立てられれば、自社での再生実施もできます。

事業再生の種類2:私的整理で実施

私的整理とは事業の再生計画案とそれに基づく債務減額や弁済猶予について、債権者との協議や債権者集会において了解を得たうえで再生を目指す方法です。再生計画の成立には債権者全員の同意が必要で、債権者が同意するかどうかを慎重に考えなければいけないので手間がかかります。

事業再生の種類3:法的整理で実施

法的整理には、会社更生法という法律に基づく「会社更生手続き」と、民事再生法という法律に基づく「民事再生手続き」があります。

会社更生手続きとはどのような事業再生?

事業を継続しながら管財人を選任し、旧経営陣から経営権や財産の管理処分権を移します。そして事業を継続しながら今後の再生計画案を作成して裁判所に提出します。

抜本的に再生を図れる点や現従業員の雇用を継続できる点がメリットです。一方、デメリットは経営者や株主の地位が失われること、申立てから計画の認可まで一般的に1~2年程度かかることです。

民事再生手続きとはどのような事業再生?

債務者自身が事業再生のための計画案を作成し、債権者の多数による同意と裁判所による認可を受けることで、債務の一部免除や弁済猶予を受けます。

法律に則って債務を減らせる民事再生は、私的整理に比べて減額の金額が多い傾向にあります。デメリットは、担保権の実行により担保としていた自社ビルなどの財産を所有できなくなる恐れや社会的な信用が低下する恐れがあることなどです。

事業再生の種類4:M&Aで実施

M&A(企業の合併と買収)による事業再生としては、主に「株式譲渡」「事業譲渡」「会社分割」が挙げられます。

株式譲渡とはどのような事業再生?

会社の株式を第三者に売却して事業の一部を承継する方法です。

売買の手続きが比較的容易である、売却益を受け取れる、後継者問題を解決できるなどのメリットがある反面、株式譲渡後に税務的・法務的な問題が発生した場合は買い手に責任とリスクが発生するというデメリットがあります。

会社分割とはどのような事業再生?

優良事業をメインにして事業の再生を図る方法で、事業を切り離して既存企業か別の新会社に承継させます。

事業に関係する権利や取引先との契約を包括的に、そして比較的容易に承継できるメリットがあります。デメリットは、会社法という法律に則った手続きが多く手間がかかることです。

4.事業再生を確実に成功させるなら専門家への依頼を検討する

今回ご紹介した通り、事業再生にはさまざまな方法があります。しかし、財政状態を正確に分析・把握し、どの方法が最も自社に適しているかを判断するのは容易ではありません。

より確実に、より円滑に再生を進めて成功率を上げるためには、税理士、弁護士、事業再生士など専門知識を持つプロに依頼して力を借りることをおすすめします。

5.まとめ

経営危機に陥った企業でも事業を継続しながら改善を図ることができる事業再生。今回は代表的な4種類の方法を紹介しました。それぞれメリット・デメリットがあるので、自社の状況に適したものを選択することが大切です。

現在、会社の進む方向性について検討されている方は、まずは信頼できる専門家を探して相談してみることから始めてみましょう。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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