1.経営力向上計画について
・経営力向上計画とは
経営力向上計画をインターネットで調べると、中小企業庁などのHPには「人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や 設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画」と、難しく書いてあります。
簡単にいうと、“中小企業の生産性向上のために、設備投資を行った場合は、税制優遇、金融支援などで後押しします”というものです。
・経営力向上計画の認定を受けられる事業者
引用元:経営力向上計画
上記の表のとおり中小企業者等が認定を受けられます。
※上記の表は経営力向上計画の認定を受けられる範囲になります。税制優遇等の適用事業者条件はまた別途ありますので注意してください。
2.経営力向上計画のメリット
・税制優遇について
経営力向上計画の認定を受けることにより、最大のメリットである「中小企業経営強化税制」が摘要できます。
※この中小企業経営強化税制は、令和3年3月31日までの制度になります(令和2年11月9日現在)
中小企業経営強化税制とは、“新品”の一定規模以上の設備を取得し、供した場合は、法人税・所得税について、その供した事業年度において即時償却又は取得価格の10%(資本金3千万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を受けることが出来る制度のことです。
・一定規模以上の資産とは
イ:機械及び装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
ロ:工具、器具及び備品 1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
ハ:建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
ニ:ソフトウェア 一の取得価額が70万円以上のもの(複写して販売するための原本、開発研究用のもの又はサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。)
もし、上記の一定規模以上の設備の購入を考えている場合は、経営力向上計画の認定を受けることにより大きな税制優遇を受けられる可能性がありますので、検討をしてみてはいかがでしょうか。
細かな中小企業経営強化税制は、国税庁HPを参照ください。
参考:中小企業経営強化税制
・金融支援の優遇について
経営力向上計画を認定されたら、政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証などを受けることができます。
具体例としては、日本政策金融公庫による融資のうち、設備資金については、基準利率から0.9%引下げの条件で借入を行えます。
3.経営力向上計画認定申請までの大まかな流れ
実際に経営力向上計画を策定・申請される際は下記の手引きをご確認下さい。
ここでは、申請までの大まか流れと注意点を説明いたします。
まず、取得する設備について「工業会等から生産性向上要件を満たす設備であることの証明書」が取得できるか確認が必要です。
設備を取得される際に、設備メーカー等に“工業会からの証明書”が発行できるか確認して下さい。
工業会の証明書が発行できる場合は“A類型”、発行できない場合は“B類型”になります。
それぞれの大まかな流れは下記になります。
【A類型】
①工業会からの証明書を入手
②経営力向上計画を策定し、申請書を作成する。
③各管轄省庁へ郵送か電子申請にて申請する。
④計画認定書が各省庁より発行される
【B類型】
①税理士等に事前確認書の発行を依頼
②管轄の経済産業局へ確認書発行の申請
③経営力向上計画を策定し、申請書を作成する。
④各管轄省庁へ郵送か電子申請にて申請する。
⑤計画認定書が各省庁より発行される
・申請の注意点として、
A類型・B類型とも原則は、計画認定書が発行されてから設備を取得する必要があります。しかし、特例として設備を取得して60日以内に経営力向上計画を申請すれば大丈夫です。
ただし!B型類の”②管轄の経済産業局へ確認書発行の申請”は、必ず設備取得前に申請する必要があります。
また、税制優遇(中小企業経営強化税制)を受けるには、その設備を供した事業年度末までに“認定確認書”の発行を受ける必要があります。各省庁に経営力向上計画を申請してから、認定されるまで、約1ヶ月かかるとされているので、早めの申請をおすすめいたします。
4.まとめ
今回は、経営力向上計画申請の大まかな概要・申請の流れしか説明しませんでしたが、申請書の内容は簡単で、所定の申請用様式3枚に記載するだけです。
こういった経営力向上計画はハードルが高いと思われがちですが、実際のハードルは低く少しの労力で大きな支援を受けることができます。
設備投資を考えており、もっと詳しく聞きたいなどありましたら是非弊社にお問い合わせください。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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