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スタッフコラム

2017.07.04|相続

財産が凍結!?相続対策が手遅れにならないように

相続対策というと節税のことばかりが気になりますが、節税だけでは十分な対策とは言えません。もちろん、目先の相続税額を減らすことは大切ですが、もめてしまうと思わぬ落とし穴があります。例えば、もめてしまうと相続税の減額特例が使えず、高額な相続税を納める必要が生じることもあるのです。

それでは、賢く相続対策をするためにはどうしたらよいでしょうか。

1.相続対策の三本の矢

まず、相続対策には、どういったものがあるのでしょうか。
相続対策は、大きく次の3つに分類することができます。

 

  • 遺産分割対策
  • 相続税の軽減対策
  • 納税資金対策

 

「遺産分割対策」はずばり、残された遺産を相続人の間で円満に財産を分割することです。そして、「納税資金対策」はその相続税を納めるお金を用意することです。また、「相続税の軽減対策」は、できるだけ相続税が安く済むようにすることです。

 

これら3つに優先順位をつけてバランス良く取り組むことによって、ご家族の状況に応じた相続対策が可能になります。

2.相続対策の優先順位は?

それでは、相続対策はどのようにすすめればよいのでしょうか。

 

「相続対策の三本の矢」のうち、まずは、最も重要な「遺産分割対策」からはじめることをお勧めします。いくら相続税の節税対策をしても、遺産分割がまとまらなければ元も子もありません。

 

「うちの財産は自宅と少しの貯金ぐらいなので、相続対策なんか必要ない」、「うちにかぎって相続でもめるわけがない」このような話をよく聞きますが、司法統計年報(平成27年版)を見てみると、遺産分割の調停・裁判件数は年々増加しています。調停件数のうち遺産総額5,000万円以下の案件の割合は、76%(内1,000万円以下が32%)にもなります。これは、調停・裁判になった10件のうち、実に7件以上のものが、財産額が5,000万円以下で相続トラブルになっているということになります。

 

したがってお金持ちの人たちだけの問題ではなく、相続税がかかる、かからないに関わらず遺産分割で親族が争う「争族」につながる可能性はあります。

 

では、なぜ遺産額が少ないにも関わらず遺産分割でのトラブルが発生しているのでしょうか。

 

その要因は、ずばり不動産です。遺産分割事件のうち86%は、遺産に不動産を含んでいます。その中でも、特に自宅などの不動産には、分けにくい・分けられないという性質があります。遺産のうち現金預金などの分けやすい財産が占める割合が低く、分けにくい不動産の割合が高いと、公平な分割が難しくなり、トラブルが発生するのです。

 

このような場合には、どのような対策があるのでしょうか。

一般的には以下のような方法が考えられます。

 

  • 不動産などの分割が困難な財産から金融資産などの分割可能な財産への組換え
  • 代償金の準備
  • 家族信託や遺言書の作成

 

などが、挙げられます。

 

次に「納税資金対策」を行います。突然に相続が発生した場合、相続税を納めるための現金が不足すると、相続発生後の相続人の生活に直接影響します。相続人の不安を取り除くためにも、まずは納税資金を確保しておきましょう。

 

これら2つをすすめながら、あわせて「相続税の軽減対策」を行うのが一般的です。さらに、ご家族の状況、相続財産の種類と金額、相続税率や相続発生までの期間を考慮しながら計画的に実行しましょう。

 

もちろん、親族の状況変化・税制改正の動向などを踏まえて、定期的に見直す必要があります。

3.手遅れにならないうちに相続対策を

日本人の平均寿命は男性が80.2才、女性は、86.6才です(厚生労働省HP(平成26年国民生活基礎調査)。ただし、心身ともに自立して健康的に日常生活を送れる健康寿命は、男性71.2才、女性74.2才となっています。

 

そして、平均寿命から健康寿命を差し引いた期間が不健康期間となります。不健康期間は男性では、9.0年、女性では12.4年あり、この期間中、その1/3の人が自分の財産管理が難しくなっています。

 

その原因としてよくあるのが、認知症です。厚生労働省の発表によると2025年65才以上高齢者の5人に1人、つまり20%は認知症になる計算で、あらゆる家庭にとって他人事ではなくなります。

 

認知症になってしまうと財産管理が難しくなるため本人の持っている全ての財産が凍結されてしまいます。そうなってしまうと、生前贈与や不動産の建設や売買・生命保険の加入・遺言書の作成・家族信託など効果的な相続対策の大半ができなくなるという問題が出てきます。

 

人間いつ何があるかはわかりません。相続対策は早くはじめればはじめるほど、大きな効果が得られます。まずはご家族で時間を作り、相続財産や分け方について話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

相続対策の結果、「相続」が「争族」になってしまっては、意味がありません。相続が相続財産をもらう立場の人・遺された家族が仲良く幸せでいられるように、元気なうちにしっかりとした相続対策をしておくと、円満に相続を迎えることが出来るのではないでしょうか。

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