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スタッフコラム

札幌事務所
2024.07.08|相続

相続・贈与のトラブル実例集

「ウチは大丈夫!」、そう思っていても、実際の相続・贈与の現場では、思わぬ悩みやトラブルが発生してしまうものです。
よくあるケースを集めましたので、どんな事態に直面するのかを知っておいてください。

1.″公正証書遺言書″と″日付の新しい遺言書″ どっちの遺言書が有効?

亡くなったAさん(70歳)の通夜振る舞いの席で、思いもよらない争いが起こってしまいました。Aさんの長男の嫁が「お父さんの遺言です」と言って、「孫に全財産を相続させる」と書かれた公正証書遺言を持って来たのです。

ところが、Aさんの妻も「妻にすべての財産を相続させる」というAさんの自筆の遺言書を持っていました。

長男の嫁は、「公正証書のほうが正式な遺言書なのだから遺産は孫のもの」と言ってゆずりません。

一方、妻は「私の遺言書のほうが最近書かれたものだから、こっちのほうが有効よ」とこちらもゆずりません。

葬儀が終わったばかりなのに遺産をめぐる争いが始まってしまい、他の家族は困り果てました。

 

~専門家からのアドバイス~

このケースのように複数の遺言書があり、その内容に矛盾がある場合は、原則として新しい遺言書が有効になります。

普通方式の遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言などの種類がありますが、種類と有効性とには関係がありません。

Aさんの場合、日付が新しい妻の遺言書が有効になると考えられます。

 

■「遺言書」■

死後の最終的な意思表示のために生前に残す文書のこと。

法律上効力がある内容は民法で定められている。

 

 

 

2.「私のものだ」と思っていた″へそくり″に税金がかかった!

Bさん(63歳)には、夫の給料を長年やりくしてためたへそくりが、300万円ほどあります。Bさんは夫からもらったつもりで、300万円を自分の口座で管理していました。

そのうち、夫婦で海外旅行にでも行こうと思っていましたが、夫が体調を崩しがちになって、そのまま亡くなってしまい、結局へそくりを使う機会が訪れませんでした。

その後、相続税の申告・納税もすませたのですが、後日、税務調査でへそくりの分の申告もれを指摘されました。

しかも、納税が遅れた分、延滞税もかかると言われたのです。

 

~専門家からのアドバイス~

専業主婦のへそくりは、名義預金とされて相続税の課税対象になる可能性があります。夫の収入を別口座に移したり、手元に分けて保管したりしたにすぎないと考えられるためです。夫があげた(贈与した)認識があれば300万円はBさんの財産になりますが、このケースだと贈与かどうかの客観的な判断が難しいところがあります。そのため、贈与契約書をつくっておくことをおすすめします。

 

■口約束と贈与契約書■

口約束等でも口頭の契約となり贈与は成立するが、客観的な判断が難しいので契約内容を書面にすること(贈与契約書)が望ましい。

 

 

 

 

3.父が愛人に多額の贈与!財産を取り戻せる?

Cさん(40歳)は、久しぶりに会った父の服装が急に派手になったことを不審に思っていました。母はすでに他界しています。

その後、父は年下の女性と同居していることがわかりました。また女性に求められるままに、父は相当の預貯金をあげてしまっているらしいのです。

父に問いただしたところ、あげたことを覚えていないなど、かなりの物忘れが激しくなっていることもわかりました。

そんな父に代わって、Cさんが財産を取り戻すことはできるのでしょうか?

 

~専門家からのアドバイス~

残念ながら、贈与が完了した部分は原則として解消できません。あげた本人である父親であっても、その子であるCさんであっても、解消することはできません。

生前に自分の財産をどう処分するかは本人の自由ですが、認知症などで財産をだまし取られている恐れがあるならば、本人の望みに沿ってサポートを行う成年後見制度の利用を検討しましょう。

 

■成年後見制度■

認知症などで判断能力が十分でない人をサポートする制度。

成年後見人が本人に代わって権利を守り、手助けをする。

4.最後に

相続・贈与の悩みは人それぞれ異なります。

いざ、専門家に相談したいと思ったときは、ひかりアドバイザーグループにお気軽にお問い合わせ下さい。 

 

(文責:札幌事務所 佐野)

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