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スタッフコラム

京都事務所
2024.07.01|相続

相続税対策だけではない「生前対策」をご紹介します

突然ですが皆さんに質問です!
「150,858人」
こちらの数字は何の数字でしょうか?
これは国税庁が発表したR4年における相続税申告書を提出した被相続人(亡くなった方)の人数です。亡くなった方の総数の割合でいうと9.6%となっています。
約15万人の被相続人が相続税の対象となり、その相続人の約33万人が相続税を納税していますが割合だと10%未満なのです。いかがでしょうか。想像していたより案外少ないと思われませんか?

では次に
「4,432,000人」
こちらは何の数字だと思われますか?
これはR6.5月に厚生労働省の研究班が公開した2022年の認知症患者の推計値です。2030年には523万人に上るとの推計となっています。
超高齢化を迎えた日本では、認知症患者数は相続税対象となる方の約30倍以上いるのです。

今回は相続税対策だけではない「生前対策」をご紹介いたします。

1.認知症になると何が問題なのでしょうか

 認知症になると銀行取引や株式取引、不動産売買・管理、施設への入所契約等の財産管理が出来なくなってしまいます。せっかく老後のために蓄えておいた預金が使えなくなってしまうことにもなりかねないのです。また自宅を売却し施設に入所したくても、認知症を発症してしまうと不動産の売却ができなくなり、施設入所が難しくなってしまいます。また生命保険契約や生前贈与等の相続税対策、さらには相続人に認知症の方がいる場合には、遺産分割協議が困難になり、何年も財産が凍結されてしまうなんてことも実際に起こっています。

 

2.認知症対策のご紹介

 今回は財産管理に着目した認知症対策をご紹介いたします。

 何の準備もなしに認知症を発症してしまうと、その方がお亡くなりになるまで財産は凍結されてしまいます。その対応策として2000年から成年後見制度がスタートしています。これは家庭裁判所が選んだ弁護士や司法書士等の専門家や親族が、認知症になった方の財産管理を行っていく制度です。近年は約80%が専門家が選ばれています。この場合は専門家への費用も発生しますし、財産管理を任された専門家とご家族とで意見が合わない場合は、ご家族の意見が反映されない等のトラブルもあるようです。

それを回避するための対策として「任意後見制度」「家族信託」があります。

 

「任意後見制度」

 任意後見制度とは、元気なうちにご自身が信頼できるご家族を後見人として契約を結び、財産管理や療養看護を任せることができる制度です。お元気なうちはご自身で財産管理を行い、認知症発症後はご家族が引き継ぐこととなります。ご家族が引き継いだ後は、家庭裁判所から任意後見監督人が選任されますので、報告の義務と費用が発生します。

 

「家族信託」

 不動産や金銭などの財産を、信頼できるご家族に託し、管理・処分を任せることができます。家族信託を活用すれば財産の所有者が認知症になってしまった場合でも財産凍結されることなく、託されたご家族が管理・運用・処分を行うことができます。また遺言としての機能を持たせることができるなど、柔軟に対応することが可能となっています。

 

3.その他の生前対策のご紹介

 認知症になると法律行為が出来なくなってしまうことで、様々な問題が生じることは前述のとおりですが、認知症対策とはならないけれど、お元気なうちにしておいた方が良い対策として「公正証書遺言」の作成があります。

 不動産オーナーの方や相続人同士の仲が良くない方、前妻(夫)のお子さんがいる方、ご夫婦にお子さんがいない方、孫に財産を残したい方、不動産を共有で保有している方などは、遺言を遺すことで将来のトラブル回避となることもございます。

いずれの制度もご本人の認知能力が必要とりなりますので、将来のトラブル回避のために、お元気なうちに対策する事をお勧めいたします。

 

4.最後に

 「うちは相続税かかるほど財産ないから大丈夫」との言葉をよく聞きますが、今回のコラムで税金以外の対策が必要であると知っていただけましたでしょうか。

ひかりアドバイザーグループでは「ひかり相続センター」にて任意後見・家族信託・遺言書作成サポートを承っております。お気軽にお問合せ下さい。

 

(文責:京都事務所 北原)

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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