1.企業版ふるさと納税の概要
平成28年度に創設された「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」は、国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みです。
損金算入による軽減効果(寄附額の約3割)と合わせて、令和2年度税制改正により拡充された税額控除(寄附額の最大6割)により、最大で寄附額の約9割が軽減され、実質的な企業の負担が約1割まで圧縮されます。
令和2年10月には、「企業版ふるさと納税」の仕組みを活用して、専門的知識・ノウハウを有する企業の人材を地方公共団体へと派遣する、人材派遣型の「企業版ふるさと納税」が創設されました。企業が人件費を含む事業費について寄附を行い、寄附と同一年度に、派遣された人材が、寄附活用事業に従事する地方公共団体の職員として任用される場合のことをいいます。
令和2年度税制改正以降、「企業版ふるさと納税」の市場規模は順調に拡大し、令和3年度の寄附金額は前年度比約2.1倍(約225.7億円)、寄附件数は前年度比約2.2倍(4,922件)となり、金額・件数ともに大きく増加しています。
引用元:https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html
企業版ふるさと納税ポータルサイト 企業版ふるさと納税リーフレットより
内閣府地方創生推進事務局公表の地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和3年度寄附実績について(概要)
2.企業版ふるさと納税のメリット
では、企業版ふるさと納税は企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
①社会貢献 企業としてのPR効果[SDGsの達成など]
ある自治体では、寄附を行うことで、公式HPに企業名が掲出され、自社のSDGs活動の紹介資料が配布されます。寄附による社会貢献を通じた法人のイメージアップや認知度の向上が期待できます。
②地方公共団体との新たなパートナーシップの構築
地方公共団体をはじめ、当該地方公共団体による地方創生プロジェクトに関わる多様な主体との新たな関係を構築することが期待できます。
③地域資源などを活かした新事業展開
ある自治体では、企業から新たな地場産品に関する提案を広く募集し、新たなプロジェクトを立ち上げています。
上記の他、人材派遣型の「企業版ふるさと納税」では、寄附を派遣人材の人件費に充ててもらうことができ、自社の社員が通常経験することのない行政の現場を体験することで、新たな人材育成にも繋がるというメリットがあります。
3.企業版ふるさと納税の注意点
制度活用にあたっては、下記の留意事項があります。
●1回当たり10万円以上の寄附が対象となります。
●寄附を行うことの代償として経済的な利益を受けることは禁止されています。
例:×寄附の見返りとして補助金を受け取る。×寄附を行うことを入札参加要件とする。
●本社が所在する地方公共団体への寄附については、本制度の対象となりません。
●次の都道府県、市区町村への寄付については、本制度の対象となりません。
ⅰ.地方交付税の不交付団体である都道府県
ⅱ.地方交付税の不交付団体であって、その全域が地方拠点強化税制における地方活力向上地域以外の地域に存する市区町村
引用元:https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html
企業版ふるさと納税ポータルサイト 企業版ふるさと納税リーフレットより
上記の他、「企業版ふるさと納税」の活用をご検討の際は、税額控除に伴う税額軽減のメリットを最大限活用できる寄附の上限金額を確認ください。
4.まとめ
「企業版ふるさと納税」の市場規模は徐々に拡大しており、各地方自治体では様々な取組、プロジェクトが立案されています。企業版ふるさと納税ポータルサイトでは、全国の特徴的な取組として、興味深く面白い取組が紹介されています。寄附をご検討の企業様は、「企業版ふるさと納税」の活用をご検討されてみてはいかがでしょうか。
▼企業版ふるさと納税ポータルサイト
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html
(文責:京都事務所 小山)
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