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2022.05.09|会計

外形標準課税の対象の法人は?メリット・デメリットも解説

道路や公共施設などの行政サービスを受けているのは、個人だけではなく事業活動を行う企業も同じです。そして、企業も個人と同様にこれらのサービスにかかるコストを負担すべきという考えのもとに設けられている税金が法人事業税です。
外形標準課税は、この法人事業税を企業間で平等に負担すべく導入されたものですが、対象となる法人には要件があります。

今回はこの外形標準課税の対象となる法人について、外形標準課税の対象となることのメリット・デメリットついて詳しく解説します。

1.外形標準課税は税負担の公平を確保するための税金

2004年に外形標準課税が導入されるまでは、地方自治体において公共施設などの行政サービスを利用しているにも関わらず法人事業税を負担しない企業が存在していました。

これは、所得を標準として黒字企業のみに課税がされており、赤字企業については税負担がなく、また、事業活動の規模が大きくても所得が少ない法人については低い水準での納税額に抑えられているためです。

しかし、黒字であっても赤字であっても行政サービスを利用しているという事実に変わりはなく、逆を言えば行政サービスを利用しなければ法人が事業活動を行うことはできないともいえます。

そこで、税負担の公平を確保するために、資本金や人件費といった企業の事業規模や、付加価値など、客観的な基準から判断、課税される外形標準課税が導入されました。

2.外形標準課税の対象となる法人

外形標準課税は全ての法人が対象というわけではなく、資本金の額が1億円を超える法人のみで、対象法人になるか否かの判定は各事業年度末日の資本金の額により判定されます。

仮に事業年度当初は資本金額が1億円を超えていなかった場合でも、途中で資本金が1億円を超える場合には対象です。

また公共法人等や特別法人、みなし課税法人、投資法人、医療法人、一般財団法人、一般社団法人、特別目的会社、人格のない社団等は除外となります。

なお創業5年以内で所得のない法人や、所得が3年以上継続してない法人については原則3年、最長6年まで外形標準課税の徴収が猶予される制度があります。

この制度の利用期間内については延滞金の二分の一が免除されます。

3.外形標準課税導入のメリット

外形標準課税を導入することのメリットとしては、企業側と行政側という2つの側面で考えることができるでしょう。

まず企業側としては、黒字企業にとっては税負担の不公平感が払拭されるという点が挙げられます。

また、所得に対しての税負担が相対的に緩和されることによって、それまで税負担を気にして弱まっていた収益体質が強化され経済が活性化したり、経営の効率化なども期待できます。

次に行政側のメリットとしては、産業や都市基盤の整備、防災、福祉、環境保全、教育など、地域住民のニーズに沿った行政サービスを供給するための安定した財源の確保に繋がるという点が挙げられます。

というのも、外形標準課税が導入されるまでの地方自治体の税収は、好景気の時には増えるものの、不景気になるとマイナスになっていたからです。

外形標準課税においては所得を標準とした課税ではないため、景気の良し悪しに左右されることなく税収を得ることができるのです。

4.外形標準課税導入のデメリット

外形標準課税はこれまで赤字により課税されなかった企業にも課税されるようになるため、当然ながら中小企業に多い赤字企業にとっては税負担が増えることになります。

ただ、そのような事態に陥ることを見越し、現状は資本金1億円以下の法人への適用は見送られています。

また、一般的に外形標準課税は所得課税よりも税負担が多くなると考えられがちですが、仮に繰越欠損金がなく、さらに人件費等の給与負担も少ない上に利益(所得)が多く出ている企業については注意しなければなりません。

こうした企業の場合、外形標準課税から所得課税に移行した際に税負担が大幅に増える可能性もあるからです。

5.外形標準課税は赤字・黒字で対応異な

外形標準課税は資本金が1億円以下の場合は適用外のため、赤字企業の場合は資本金を1億円に減資することで納税額を抑えるケースも珍しくありません。

しかし、反対に黒字企業については外形標準課税を適用した方が納税額を抑えられるケースもあるため、注意が必要です。

また、税負担の不公平感が払拭され、経営が効率化する可能性もあるでしょう。

なお、外形標準課税の税額の計算方法は複雑です。不明な点は税理士等に相談することをおすすめします。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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