1.税務相談を税理士以外が行うと違法になる
税務相談とは、税理士が行う業務として税理士法に定められており、税理士以外が行えば無償であっても違法となります。(税理士法第2条)
先に、税理士だけが行える3つの「税理士業務」を紹介します。
(税務官公署とは、国税局や税務署などのことです。)
1. 税務代理
租税に関する申告・申請・請求・不服申立
税務官公署の調査や処分に対してする主張・陳述など
2. 税務書類の作成
税務官公署に対する申告に係る申告書の作成など
3. 税務相談
1.2.の作成は行わず、個別具体的な租税の計算方法などの助言のみ行う業務
以上のように、具体的な申請書の作成を伴わない相談業務でも、税理士以外が行えば違法となります。(通知弁護士や税務職員など、特別な場合を除く。)
具体的な税務相談の内容
具体的には税務の相談とは以下のようなものが挙げられます。
● 個人の所得税や相続税など具体的な税の相談
● 確定申告の手伝い
● 法人の納税額の計算や節税対策の相談
● 各税額から控除できる税額の確認
● 課税標準の計算方法を教える
● 税務調査の立会
納税であれ還付金であれ、具体的な税額や、税の計算方法に関する相談は税務相談に該当します。
税務相談に該当しない内容
税務相談とは、個別の問題や状況へ回答することが該当します。
そのため一般的な税の計算方法や、税法のテキストに書かれている問題の解き方を聞くことなどは税務相談に該当せず、税理士以外が回答してもかまいません。
将来発生する税額の相談は税務相談に該当する恐れがある
将来的な税に対する相談は「将来的税務相談」といい、「税務相談」に該当するか否かは、専門家の間でも意見が二分しています。
例えば、将来発生すると考えられる相続税の額などです。
とはいえ、税に関する内容である以上、誤った判断をすれば将来に影響を及ぼします。
未来の出来事であっても、税理士へ相談しましょう。
非税理士の税務相談は無料であっても違法
なお、税務相談に該当する行為は、たとえ無料であっても、税理士以外が行えば違法にあたります。
これを無償独占といい、タダであっても専門家以外は行えない業務を指します。
なぜ税理士に限定しているのか
なぜ無料の相談であっても税理士のみに限定しているのかは、税理士法第1条にその根拠があります。[注1]
● 独立した公正な立場で助言をすること
● 申告納税制度の理念に沿っていること
● 納税義務者の信頼にこたえること
● 租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること
税理士はこれらの使命に基づき業務を行います。これらを実現するためには、専門的知識の習得が不可欠のため、税務相談は税理士のみが行えるのです。
2.非税理士への税務相談の罰則や罰金
非税理士が税務相談に応じた場合、その者に対し2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課される恐れがあります。
(税理士法第52条、同法第59条第1項第3号)
依頼者にも被害がある
なお、非税理士が処分されるだけでなく、依頼をした個人や法人にも被害が及ぶ可能性があります。
● 節税ではなく脱税方法をアドバイスされていた
● 教えられた申告書の作成方法が間違っており、正しく納税できていなかった
● 申告が間違っていれば、修正申告書の提出や延滞税の支払いが必要になる
正しい知識のない者に相談すれば、金銭・時間どちらの負担も増える可能性が大いにあります。
本物の税理士の見分け方
税理士業務を本業とする、本物の税理士か否かは下記の方法で確認できます。
● 税理士証票を持っているか
● 税理士バッジは身に着けているか
● 日本税理士会連合会 に情報は登録されているか[注2]
また、資格があっても税理士名簿に登録されていなければ、税理士とは認められない点にも注意が必要です。
なお、「業とする」とは、反復継続して行う、又は反復継続して行う意思をもって行っている状態を指します。
3.税のことで困ったら税理士に相談しよう
具体的な税の計算方法や申告書の書き方など、税務相談を非税理士が対応した場合、無料であっても違法となります。
違反者には2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課されるため注意しましょう。
また、利用者も非税理士に相談すれば、申告間違いなどにつながりかねません。
税金のことで困ったことがあれば、信頼できる税理士に相談しましょう。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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