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2021.12.17|会計

計上とは?記帳との違いなど解説

会計処理にはさまざまなルールがあり、ルールを守って間違いのない会計処理を行うためには専門用語を正しく理解しておくことが基本となります。

そのため会計処理に不慣れな場合には、特に用語の意味や用語が指す内容を前もって把握しておくことが大切です。

そこでこの記事では、会計処理を行う上で必ず押さえておかなければならない「計上」について意味や記帳との違い、実施するタイミングなどをわかりやすく解説します。

1.計上とは?

「計上」とはどのような意味を持ち、どのような使い方をするのか、また似た意味を持つ記帳との違いについて解説します。

言葉の意味

計上とは取引金額を企業全体の金額に含めるために帳簿に記入し勘定することです。

例えば「経費に計上する」「売上を計上する」などのような使い方をします。

取引金額には売上や仕入の費用などさまざまあり、各金額を明確化していく作業が計上では重要です。

帳簿に記入される金額は決算書に反映されるため、日々の帳簿付けは正しく行う必要があります。

記帳との違い

「記帳」にも「計上」にも「帳簿に記入する」という意味があるため、使い分けに迷う人もいることでしょう。

記帳と計上の違いは記入する目的です。

企業全体の計算に含めることが目的で帳簿に記入する場合には「計上」を使います。

一方、会計処理のときに限らず広い目的に対して使用できる言葉が「記帳」です。

例えば「銀行で通帳に記帳する」「名簿に記帳する」のような使い方もできます。

2.発生主義と現金主義

お金の出入りを計上するタイミングにはルールがあります。

ここでは主な2つのルールを解説します。

発生主義

発生主義は取引が行われた事実に基づいて計上するルールです。

計上するタイミングはあくまでも取引が発生したときで、現金のやり取りがいつであったかは関係ありません。

また、発生主義で計上しなければならないのは費用です。

収益も基本は取引が発生したときに計上することとなっていますが、まだ実現していない収益を当期分の収益として計上することは認められていません。

そのため収益は取引が発生して、さらに実際に対価を受けたときに計上するという考えの実現主義を採用するのが一般的です。

現金主義

現金主義とは現金のやり取りにあわせて計上していく会計処理の考え方をいいます。

実際にお金を受け取ったり支払ったりしてから計上するため不正が起こりにくい点がメリットです。

また管理しやすい点も現金主義の特徴ですが、売り掛けや買い掛けの際には気を付けなければなりません。

ものとお金が同じタイミングで動かないため、損益計算が正しくできない可能性があります。

3.売上の計上基準

売上計上する基準は企業会計原則で厳密に定められています。

ここでは6つの基準を紹介するので参考にしてください。

検収基準

検収の終了日に売上計上するのが検収基準です。

具体的には検収書に記載された日付が検収の終了日となります。

納入品の確認を終えて収益が確実になってから計上するため、後になって記帳の修正や変更が生じにくい点がメリットです。

ただし計上するためには検収書などの書類のやり取りが必要となるため多少の手間はかかります。

出荷基準

自社の倉庫や店舗などから製品や商品を出荷した日を売上計上日とするのが出荷基準です。

主に物販業などで採用されています。

送り先となる顧客が実際に製品などを受け取る前に計上するため、送る相手の受け取り状況に影響されない点が特徴です。

ただし出荷したことがわかる記録を残しておく必要があります。

検針基準

メーターなどで使用量などを確認した日を売上計上日とするのが検針基準です。

使用量の変動がある場合でも売上計上しやすいため、電気やガス、水道などの会社で採用されています。

ただし検針する件数が多い場合には、同日にすべての検針を終えられず、顧客によって基準日が変わってしまう可能性がある点に注意が必要です。

使用収益開始基準

取引先が製品や商品を受け取り、受け取った製品などの使用が実際に可能となった日を売上計上日とするのが使用収益開始基準です。

使用が可能となった日とは、取引先が仕入れたものを活用して利益などを得られる状態になったときを指します。

この基準を採用しているのは、主に不動産業やWebサービスを提供している会社などです。

役務提供完了基準

役務、つまりサービスの提供が完了した日を売上計上の基準とするのが役務提供完了基準です。

設計や技術、各種サービスを提供する会社で広く採用されています。

ただしサービスを継続的に提供している場合は明確な完了日がないため、1カ月など一定の期間を決めて期間ごとに売上計上するのが一般的です。

工事完成基準

工事完成基準は工事が終了し引き渡しが終わったタイミングが計上日の基準となります。

完全に工事が終わってから計上するため、確実な金額で計上できる点がメリットです。

建設業で広く採用されている基準ですが、工期が1年以上で10億円超の請負金額がある建設会社などは「工事進行基準」を採用している場合もあります。

工事進行基準は工事の進行の状況に応じて売上などを分散して計上するのがルールです。

4.仕入の計上基準

仕入は結果として利益にならなくてもすべて計上が必要で、仕入を計上するタイミングの基準は主に3つあります。

検収基準

納品された製品などの検収が完了したときを仕入計上のタイミングとするのが検収基準です。

仕入先から運ばれてきた製品や商品をチェックし、問題がないことが確認できたら検収完了となります。

検収完了後は納品物に問題が発覚しても仕入先に返品などができず、計上した金額は確定されます。

そのため取引で製品などの状態が重要な意味を持ち、計上前に検収を済ませておきたい企業に適した基準です。

発送基準

仕入先が製品などを発送した日を仕入計上のタイミングとするのが発送基準です。

発送基準を採用すると早く仕入計上できるようになりますが、相手に商品などが届く前に計上してしまうため、計上済みのものを修正しなければならない可能性も生じます。

例えば商品が何らかの理由で届かなかったり、検品で不良品が見つかったりした場合などです。

入荷基準

製品や商品が入荷または入庫された日に仕入計上するのが入荷基準です。

受取基準や納品基準とも呼ばれ、仕入計上では多く採用されています。

入庫日を基準とした場合、入庫した製品の個数などをシステム上に反映してから仕入計上するため、実際の状況と帳簿上の情報を連携させやすい点がメリットです。

5.まとめ

売上や仕入代金などを帳簿に記帳して勘定する計上には、正しく行うためのルールがありますが、計上するタイミングの基準はさまざまです。

会計原則による発生主義や現金主義などの区分に加えて、出荷基準や検収基準など取引の状況に応じた基準もあります。

そのためそれぞれの基準の特徴を知り、どの基準を採用することが自社にとって最適であるかをしっかり検討しましょう。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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