1.租税公課(そぜいこうか)とは
「租税公課」は「租税」と「公課」をあわせた勘定科目です。では、どのようなものが租税や公課に該当するのでしょうか。
租税
租税とは税金のことで、主な項目は下記の通りです。
【租税の具体例】
- 固定資産税
- 不動産取得税
- 自動車税(軽自動車税)
- 消費税(税込方式のみ)
- 事業税
- 事業所税
- 都市計画税
- 登録免許税
- 印紙税
公課
公課とは公共団体に納めるお金を指し、手数料や罰金、その他公共団体へ納める会費などが該当します。
【公課の具体例】
- 社会保険料
- 商工会議所や組合、町内会、協会などの会費
- 罰金、科料、過料
- 定款認証手数料
2.経費計上できる租税公課
租税公課として経費に計上できるのは、経営上必要なもののみです。また、個人事業主で、仕事とプライベートの両方で使用するものは按分(マイカーを仕事にも使う場合)して計上します。
経費として認められれば、損金算入が可能となります。損金算入とは、原価、損失、費用など資産が減る理由となるお金です。ここでは、経費になる租税課税を3つ解説します。
事業年度に損金算入するもの
損金算入とは「費用」として会計上あげていないものでも、税務上では「損金」として扱われるものを指します。
【損金算入時期】
- 申告した日が属する事業年度
【具体例】
- 法人事業税
- 事業所税
- 酒税
- 印紙税
賦課決定のあった事業年度に損金算入するもの
賦課決定とは税額の計算と申告を納税者が行わず、税務署長や地方団体の長などが税額を計算し決定することです。
【損金算入時期】
- 賦課決定があった日が属する事業年度(分納の場合もその金額が決まった日)
【具体例】
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 自動車税(軽自動車税)
特別徴収されるもの
特別徴収方式とは、本来税金を負担するべき納税者ではなく、事業者が国や地方公共団体に対し間接的に税金を払う方法です。
【損金算入時期】
- 納入申告書を提出した事業年度
【具体例】
- 軽油引取税
- ゴルフ場利用税
- 入湯税
利子税・滞納金
国税である利子税、地方税の延滞金も租税公課として経費計上が可能です。
【損金算入時期】
- 納付した事業年度
【具体例】
- 利子税
- 滞納金
もし事業年度の未納額を損金経理によって未払金とした場合、損金経理をした事業年度が損金算入時期に該当します。
3.経費算入できない租税公課
罰金や「会社が存在すること」にかかる租税公課は経費計上できません。具体例を以下でまとめました。
罰金、科料、過料に該当するもの
不注意や違反により支払ったものや罰則の意味合いを持つものは損金として算入できません。
【具体例】
- 延滞金
- 不納付加算税
- 怠税
- 交通反則金
【勘定科目】
- 雑損失
法人税額から控除するもの
源泉徴収税は租税公課であるものの、前払いの性質を持つため経費とは認められないので注意しましょう。
【具体例】
- 利息にかかる源泉所得税
- 配当金にかかる源泉所得税
【勘定科目】
- 仮払金勘定
4.消費税の取り扱い
税込み経理の場合のみ租税公課として経費計上できます。
【仕訳の流れ】
- 50,000円(税込み55,000円)の商品Aを仕入れた
(借)仕入れ 55,000円 (貸)現金 55,000円 - 商品Aを77,000円(税込み)で販売した
(借)売掛金 77,000円 (貸)売上高 77,ooo円 - 預かり消費税7,000円と支払い消費税5,000の差額を決算で計上した
(借)租税公課 2,000円 (貸)未払消費税 2,000円
税抜き経理
次に税抜き経理について例を挙げます。租税公課の勘定科目は使用せず、経費計上はできません。
【仕訳の流れ】
-
50,000円(税込み55,000円)の商品Aを仕入れた
(借)仕入れ 50,000円 (貸)現金 55,000円 (借)仮払消費税 5,000円 - 商品Aを77,000円(税込み)で販売した
(借)売掛金 77,000円 (貸)売上高 70,000円 (貸)仮受消費税 7,000円 - 仮受消費税と仮払消費税の差額を決算で未払消費税に振り替えた
(借)仮受消費税 7,000円 (貸)仮払消費税 5,000円 (貸)未払消費税 2,000円
5.【まとめ】
租税公課は経費計上できるものとできないものがあり、経理初心者の人には区別が難しいかもしれません。
経費算入できない租税公課は罰金や前払いのものなど、算入できるものとは性質が異なっている点を押さえておくと良いでしょう。
経理は会社の経営に関わる重要な業務の1つです。基礎知識を正しく理解し、会社のお金を管理してください。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
税理士変更をお考えの方はこちら