Menu

Column

スタッフコラム

全拠点
2021.07.27|会計

減価償却を行う際に知っておきたいポイントとは?計算方法などを解説

企業や個人事業主が、パソコンや車、オフィス機器などを購入した場合、一度に経費計上を行うのではなく、数年間にわたって一定額を経費に計上することが可能です。この仕組みを「減価償却」といい、節税対策や経営の安定化といったメリットがあります。とはいっても減価償却を正しく行うためには、前提知識が必要です。今回は、減価償却を行う際に知っておきたいポイントについてご紹介します。

1.減価償却とは

減価償却とは、固定資産の購入費用を分割して費用計上する会計処理のこと。企業の設備や備品といったものは、購入から時間の経過とともに資産価値が減少するため、一括で経費として計上するのではなく、使用可能な期間内に分割しながら計上することが一般的です。

例えば、ある機械を500万円で購入したとします。これを減価償却せずに、500万円を経費として一括で計上すると、短期間のうちに総資産が500万円減額になってしまいます。

黒字続きの企業であっても、多額の損失によって赤字になると銀行から融資を打ち切られてしまうなど、大きなデメリットが生じるのです。そこで、機械購入分の500万円を減価償却し、毎年一定額を経費として計上していくことで、大きな損失を防ぐ効果があります。

2.減価償却できる資産・できない資産

企業活動におけるすべての購入品が減価償却の対象になるわけではありません。減価償却できる資産・できない資産についてそれぞれ確認しておきましょう。(※1)

(※1)国税庁『主な減価償却資産の耐用年数表』https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

減価償却できる資産

減価償却の対象資産は、「使用期間が1年以上で取得価額が10万円以上の固定資産」であることが求められます。有形固定資産だけではなく、ソフトウェアや特許権といった無形固定資産も減価償却の対象に。減価償却が可能な資産は以下の通りです。

減価償却できる有形固定資産

設備・備品・工具・建物・車両・船舶・航空機など

減価償却できる無形固定資産

ソフトウェア・特許権・商標権・意匠権など

 

減価償却できない資産

減価償却できない資産として代表的なものが、美術品や土地です。これらの資産価値は景気によって変動することはありますが、時間の経過によって価値の減少はないとされているため、減価償却の対象資産には含まれません。

また、減価償却の対象資産に該当していたとしても、普段の業務で使用していない場合は減価償却を行うことはできないため、注意が必要です。

3.減価償却を行うメリット

減価償却を行うメリットは大きく2つ。こちらでは、それぞれの詳細についてご紹介します。

節税対策につながる

減価償却を行う最大のメリットは、やはり節税対策。一度に費用計上を行わず、毎年減価償却費が発生することで法人税を大幅に抑えることが可能です。また、固定資産の購入金額が10万円未満の場合、耐用年数が1年未満であれば「少額減価償却資産」として、通常の減価償却費とは別に経費として形状することができます。

手元に資金を残すことができる

高額の固定資産を購入し、減価償却を行わずに一度に費用計上した場合、自社の利益は一時的に減少、もしくは赤字計算に。冒頭でもお伝えしたように、減価償却は固定資産の購入費用を一度で計上せず、複数年にわたって計上します。減価償却を行うことで、高額の固定資産を購入する場合であっても一度の損失を抑え、支出を伴わない減価償却費として費用計上することで、手元に資金を残すことが可能です。

4.減価償却の計算方法

減価償却の計算方法は、「定額法」と「定率法」のいずれかが使用されることが一般的です。ここでは、それぞれの違いについてご紹介します。

定額法

定額法とは、毎年一定金額を減価償却することです。年間の減価償却費は、資産の取得価額に対して耐用年数に応じて定められた償却率を掛け合わせて求めることができます。計算式は以下の通りです。

取得価額×定額法の償却率=定額法の減価償却費

例えば、600,000円の資産を4年間で定額償却した場合、1年分の減価償却費用は、600,000円×0.25=150,000円になります。定額法の償却率は国税庁によってそれぞれ定められているため、下記のリンクをご覧ください。(※2)

(※2)国税庁『減価償却資産の償却率表』https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

定率法

定率法とは、毎年一定の割合で減価償却費が少なくなるように計算することです。定額法よりも初期段階の減価償却費が大きくなるため、節税対策の一環として購入した資産は定率法を用いることが一般的。計算式は以下の通りです。

 

未償却の残高×定率法の償却率=定率法の減価償却費

 

例えば、3,000,000円の資産を4年間で定率法償却した場合、初年度の減価償却費用は、3,000,000円×0.625=1,875,000円になります。減価償却資産の償却率は定額法、定率法ともに国税庁によって定められているため、上記のリンクをご覧ください。

5.減価償却のポイントを押さえて、正しく処理をしよう

今回は減価償却の仕組みや計算方法などについてご紹介しました。減価償却は、時間の経過によって性能が落ち、資産価値が減少していく固定資産を一定額分割して計上すること。複雑な仕組みだと思われがちですが、企業の財産として価値が長年にわたって持続する資産について、使われた分だけ費用として分割計上していくと考えればわかりやすいのではないでしょうか。減価償却の内容は国税庁による税務調査の対象になることもあるため、正しく処理しましょう。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

税理士変更をお考えの方はこちら
メールマガジン
登録
お見積り
ご相談